廃用症候群(以下廃用)とは安静状態が長期間続く事によって生じる、さまざまな心身機能の低下(筋力低下、歩行能力低下、体力低下、うつ等)を指します。安静臥床を強いられた入院患者さんなどでよく見られるのですが、今回の東北の地震後も同じことが起こるのではないかと懸念されています。
人間、1週間の絶対安静で10~20%の筋力低下が生じると言われています。避難所などでの生活は「動くに動けない」環境のため「生活が不活発」になり、廃用がおこります。特に被災地の高齢者は廃用に注意です。
新潟県中越地震のとき、非要介護認定者の約3割に災害後に歩行困難が生じ、そのうち4割弱(全体の1割強)が6ヵ月後にも回復していなかったそうです。
そして、日中活動性に低下のある高齢者はなかなか歩行能力が回復しなかったそうです。
廃用を予防するにはどうすればよいでしょうか。一番重要なのは日中しっかり起きて活動してもらうことだと思います。避難所では、昼間は毛布をたたんでもらいましょう。また活動しやすいように避難所の環境を整理してもらったり、昼間の生活の場所を確保することも重要かもしれません。
ボランティアの方は、災害で打撃を受けているのだから無理をさせてはいけない、と過保護になりすぎる可能性もあります。被災者にかかわるスタッフに対し、廃用に関する啓蒙が必要かと思います。
現時点では衣食住が最大の課題ですが、後々このような廃用の問題が出てくると思われます。
災害の復旧活動はリハビリテーションの概念そのものです。また、リハ栄養の見地からも被災地における食料供給は重要な問題であると言えます。
災害支援におけるリハ関連職種の介入の余地、いろいろあるのではないかと考えています。
引用文献
生活機能低下予防マニュアル
災害時支援の新たなターゲットとしての生活機能
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