2010/07/27

リハ医とは

リハ医とは何なのか?詳しくはリハ医学会のHPにも書いてありますので一読されると良いかもしれません。
私は、医学的診断・治療にもとづきリハ効果を高める(リハをメディカルファシリテートする)のがリハ医の一番重要な仕事だと認識しています。つまり、医学的にリハのアウトカムを底上げするのが使命である、と。積極的なリハ医学的介入のできるリハ医がもっと増えることを期待しています。

2010/07/26

モーターポイントブロックとボトックス

リハ医にとって痙性のコントロールは得意分野です。特にモーターポイントブロック(MPB)やボトックス(BTX)などは得意ですね。上手にMPBできると歩様の改善、装具のレベルダウンなどが可能です。脳性麻痺の足にはBTXも使用できます。MPBにくらべBTXは手技自体簡単ですね。

慢性期脊髄損傷における排尿障害の診療ガイドライン


泌尿器科の先生とウロダイを何度かやったことがあるのですが、専門医試験のときこれを読んで、本当の意味で脊損の排尿管理を理解してはいなかったと感じました。(まあ、ちょっと、、、というところもありますが。)
付録に「二分脊椎症に伴う下部尿路機能障害の診療ガイドライン」もついてますね。今、2人ほど二分脊椎みてるのでもう一度見直してみます。

切断後早期にスタンプシュリンカーを

皆さんは切断の患者さんにスタンプシュリンカーを使用してますでしょうか。要はソフトドレッシング代りに、断端を引き締めるためのものです。ソフトドレッシングは慣れていないスタッフですとなかなか難しいこともあり、早めに仕上げるにはどうしても必要だと感じているのですがあまり使用しているという話を聞いたことがないので取り上げてみました。是非、一度使用をしてみてください。

リハ医に向いてる人

学生時代に、アメリカの医学生がどのように専門科を選ぶかという本を読んだことがあるのですが、そのなかにこういう人がリハ医に向いているという内容があったので日本語訳してみました。

・人の役に立つのがうれしい
・みんなで協力して何かをやるのが好き
・クリエイティブな仕事がやりたい
・複雑な問題を扱うのが好き
・目標を決めてそれを解決しようとできる
・幅広くいろいろなものに興味が持てる

リハ医は運動障害・認知障害の専門家であるとともに全身管理・一般医療にも長けています。また、幅広い対象疾患に対し目的指向型医療・患者中心の医療を提供しています。総合的なアプローチが得意なトータルライフコーディネーターといったところでしょうか。

リハ専門医試験・受験感想文

平成22年3月4・5日、東京国際フォーラムでリハ専門医試験を受験しました。その時の感想を以前後輩にメールしたことがあるのですが、参考になる人もいるかと思い掲載することにしました。

・初日
筆記試験:150問、3時間は結構疲れました。
過去問(特に過去2年間)と同一問題、類似問題多かったです。
過去問とQ&Aをしっかりやるのが重要であったと感じました。
例年よりやさしい印象でした。40分くらい余りました。

・次の日
面接:A,B、30分づつ。人によって集合時間が違います。
1時間ごとに15人づつくらい試験しているようでした。
みんな正装でした。試問のとき自分の症例のプリントを渡されます。
装具などの写真集がおいてありましたが時間もなく使われませんでした。

A:回復期の先生と整形外科の先生のようでした。
FIMつけてますか?無視の見方、リハは? 高次脳のリハで注意してるとこは?
伝速で軸索損傷と脱髄の鑑別は?DVTのときワーファリンいつまで使う?
失語のスクリーニングは?
ニューロパチーの下肢装具のポイントは?(軽めに作ると答えて欲しかったよう。)
MPBのやり方を説明して。
CPのオペどんなのがある?
開胸術後のリハどうやってる?開始基準、中止基準は?
嚥下の手術症例いますか?バクロフェンの髄注は?
多発性筋炎の合併症は?
脳卒中から始まりましたが呼吸リハの症例までいかずに終了。

B:脊損を多く見てらっしゃる先生と大学病院の先生のようでした。
脊損のマットとクッションの決め方どうしてる?
脊損の合併症どんなのある?しびれの薬は?
自律神経過反射とは?膀胱瘻の適応は?
下腿義足のソケットにはどんなのありますか?
ソケットの不適合でどんな異常歩行でますか?
RA症例の患者さんのステインブロッカーのStgaeとClassは?
MTXの副作用は?等尺性運動と等張性運動の使い分けは?
MPBの適応は?PPSの症状知ってますか?
T杖の握りのいちはどこ?
最後に車椅子について、と写真集を開こうとしたところで終了。

自分の症例のなかから多く質問されたので良かったですが、
時間が余って基礎的な質問がいっぱい来ると結構きつかったかもしれません。

以上感想でした。

2010/07/25

経頭蓋直流電気刺激法のレビュー

Transcranial direct current stimulation State of the art 2008.Brain Stimulation 2008.
tDCSのレビューです。上肢麻痺に対しては、やりようによっては効果がありそうですね。先日、嚥下障害患者に対しPilot Studyを行ったのですが、あまりうまくいきませんでした。嚥下は両側支配なのでなかなか難しいですね。やりかたを工夫してもう少しチャレンジしてみます。

嚥下障害に対する電気刺激療法(Systematic Review)

Evidence-based systematic review effects of neuromuscular electrical stimulation on swallowing and neural activation.American Journal of Speech-Language Pathology Vol.18 361-375 November 2009
嚥下障害に対する電気刺激療法に関するシステマティックレビューです。PⅠスタディーばかりが現状という結論です。最近Vital StimのRCTで結果が出たという論文も見かけましたね。やりようによっては有効なのだと考えます。

2010/07/21

性ホルモンと身体機能とは関連性がある

これは性ホルモンと身体機能との関連性を明らかにした報告です。208人の高齢者(70歳以上)を集め、性ホルモン濃度と身体機能や認知機能との関連性を検討しています。
男性においてはフリーテストステロンとADL,IADL,HDS-R,VIとの間に、またDHEA-SとHDS-Rとの間に有意な相関がみられ、女性においてはDHEA-SとADLとの間に有意な相関がみられた、との結論です。リハ患者の予後予測などにもこれらのパラメーターが役に立つかもしれません。

2010/07/20

小児にも使用可能なポータブル嚥下内視鏡


病院の診療機器購入申請にあたって、小児にも使用可能な細い(2.4mm)ポータブル喉頭ファイバーがペンタックスより新たに出ているのを知りました。胃瘻交換の確認にも使用できるように210度のアングル角を持っています。アングルの小さい製品(FI-7RBS)も出ているようだったのでそれで見積もりをお願いしようと思っています。これで小児科の依頼にもどんどん応えられるようになりたいです。

リハ科入局希望者Q&A

リハ科の入局希望者から聞かれるお決まりの質問に「脳外や整形外科をまわってからのほうが良いでしょうか?」というのがあります。これに対する私の答えは「良いリハ医になることがゴールであれば、まずリハ医になるのが近道」です。
リハ医は脳外や整形外科の延長にあるものではありません。本当にリハ医になりたければまず、リハ医となりリハ医として必要なものとそうでないものを見極めるのが効率的と考えます。そうすることでやるべきこととやらなくてよいことの選別ができ、そのうえで自分に必要と感じたなら他の寄り道も良いでしょう。

またもう少し内科や救急などを勉強してからという人もいますが、2年間の初期研修でもかなりのことが学べますし、結局使い続けない知識や技術は意外と早いうちに失われるものです。(ずっとその仕事もやり続けたいというのであれば別ですが。)いろいろできたほうが後々つぶしが利くからといった考えでは無駄が多いかもしれません。ただ漫然と目の前の業務をこなす者ではなく、きちんと目標を持つ者であれば
「ゴールを決めてその目標を達成するための最も効率の良い方法を検討する」のが良いと思います。

最終的に「それが自分のキャリアとして積み重ねられるものかどうか」という視点も大切です。寄り道が10年後振り返ると時間の無駄だった、ということにならないように、、、

(以上、「レバレッジ・シンキング」を読みながら書いてみました。)

2010/07/19

気切閉鎖の手順

脳卒中の患者さんで気切されてリハ科に移られる方もしばしばいらっしゃいます。皆さんはそのような患者さんの気切をどのように閉じてますでしょうか?これまでマニュアルのようなものがあるかといろいろ探してみたこともあるのですがあまり良い物をみたことがありません。


個人的には「カフ付き・複管・スピーチタイプ」から始めます。そして汚れが少なければ単管にし。痰が減ってくればカフ脱時間を増やし、問題なければカフなしに。あとSTとNsサイドでスピーチ時間を徐々に増やしてもらい、最終的には蓋をしても大丈夫なことを確認して閉鎖へ、というやり方をしていますがどうでしょうか?

(あと、レティナは当院オンコール体制で抜けるとそのつど夜中でもすぐに来院しないといけないため、抜けにくさなども検討しなくてはいけません)

自分のやり方は多分ベストではないと感じています。もしもっとスマートな方法をお知りの方は教えていただけると幸いです。

我が家の教育方針・育児心得

昨日、都内の育児セミナーに参加して来たのですが、最近の親は確信をもって育児をしていない、というお話がありました。確かにどっちが正しいかと迷う場面も多く、大まかに方針を決めたほうが良いかと思い、教育方針(子供が守るべきこと)は以前作ったことがあるのですが、育児心得(親が守るべきこと)として新たに作ってみました。(忙しいパパのための子育てハッピーアドバイスなどを参考にしました。)これから妻との共通目標としてのすりあわせを行っていきます。

2010/07/18

転倒予防のメタアナリシス(FICSIT)

The effects of exercise on falls in elderly patients: A preplanned meta-analysis of the FICSIT.JAMA 1995
現在、脳卒中後転倒患者さんのADLと基本動作に関するCox比例ハザードモデルを試しているのですが、リハ病棟からもう少し転倒件数を減らしたいという話があり、古い論文ですが転倒のレビューには必ず名前の載っているFICSITの論文を読み直してみました。
太極拳のようなゆっくりとした運動を含んだバランス訓練が有効という結果ですね。転倒高リスク群のピックアップの方法の再検討と内服調整・身体イメージの修正あたりから介入していこうかと思いました。

2010/07/14

公衆衛生大学院(School of Public Health:SPH)

半年前くらいから臨床研究をもう少し系統的に勉強できないかと思案していたころ、公衆衛生大学院(School of Public Health:SPH)で勉強するという選択肢もあることを知りました。SPHにはEBMや臨床試験を担う臨床疫学専門家を育てる役割もあります。日本には東大、京大、阪大、九大あたりにしかないということで、今年、東大のSPHの説明会に行ってきました。働きながらの1年コースでMaster of Public Health(MPH)ももらえるということで魅力的でしたが、あまりに急だったので話がまとまりませんでした。私の人生と医局の人事に余裕があればいつか、、、とも思っていますが、どうでしょうか、、、

2010/07/13

JMPとSPSSの良いとこ悪いとこ

JMPとSPSSの良いとこ悪いとこをまとめなおしました

JMP
http://www.jmp.com/japan/

メリット
統計が苦手な人でも操作が直感的で使いやすい
ざっと視覚的に全体像を把握したり、傾向をみたりするには便利
8万円くらいと比較的安価(アカデミックで)
サンプルサイズの計算も可能
自分が使うパソコンであれば何台でもインストール可(インストールごとに会社に電話必要)
生存時間分析、Cox比例ハザード、多重ロジスティックなども可

デメリット
講習会・本などが少ない
ダミー変数が1,-1に限定されているためオッズ比の解釈に注意が必要。
信頼区間が計算されないときがある。

SPSS:
メリット
講習会も豊富(高価だが)、本もたくさん出てる
多変量解析において論文掲載に必要なほぼ全ての結果が表示される

デメリット
基本モデルは9万円(アカデミックで)くらいだがそれでは多変量解析が片手落ちで生存時間分析、多重ロジスティックなどもやるには追加で5万円づつくらい必要(メディカルモデルは28万円くらい)
2台までしかインストールできない


あと、メタアナリシス機能はどちらのソフトにもついてませんので
STATAなどに頼る必要があります

私のいつもの使い方は
まずJMPでデータをいじりまわして、論文にするときにSPSS
というパターンが多いです

追記:
JMPにもスクリプトディレクトリーを後付けすることでほぼSPSSのメディカルモデルと遜色ない機能が付加される可能性があることがわかりました。

2010/07/10

脳卒中後のリハビリと大脳皮質刺激療法


Invasive Cortical Stimulation to Promote Recovery of Function After Stroke. Stroke 2009.
脳卒中後リハビリで使用される大脳皮質刺激法についてのまとめです。上肢麻痺に対しては結構研究されていますね。大脳皮質刺激療法はこれまでのリハビリ医学を劇的に変える可能性があると感じます。

第4回Neurorehabilitation Conference



本日、第4回Neurorehabilitation Conferenceというものに参加してきました。
動脈瘤に対する血管内治療の予後について、ドパミンと磁気刺激の関連について興味深い話がありました。シナプス促通法のいろいろについて最近の知見を得ましたよ。次回は2/26予定とのことでした。

2010/07/07

NST介入効果の予後予測


最近、引っ越しなどで落ち着かず、更新滞ってますが、今回は「NST介入効果の予後予測」というポスター発表で優秀賞をもらったので報告します。決定樹分析まで行って、あまりに予後・全身状態悪すぎる人には栄養を積極的にいれるメリットが少ないという結論です。まあ、当然といえば当然かもしれませんが。

磁気刺激を応援するクラウドファンディング「脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい」

磁気刺激療法を応援するクラウドファンディング「 脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい 」がREADYFORにて行われています。 https://readyfor.jp/projects/hosp_mie-rehabil 経頭蓋磁気刺激療法は脳卒中治療ガイドライ...