2013/03/24

なぜ熊は冬眠で廃用にならないのか?

Stenvinkel P, Jani AH, Johnson RJ. Hibernating bears (Ursidae): metabolic magicians of definite interest for the nephrologist. Kidney Int. 2013;83:207-12.
ずっと安静臥床でも廃用にならない動物がいると言ったら信じますか?実は熊は冬眠によってもあまり廃用性変化が生じないと言われています。これはなぜ熊が冬眠中廃用にならないのかに関するレビューです。

熊は5,6ヶ月冬眠しても耐久性や筋肉量、骨量はそれほど落ちず、褥瘡やDVTもできず、冬眠直後でも冬眠前と変らず活動できるということが書かれています。
その理由ですが・・・尿素窒素からBCAAを合成すること、寝ていても筋収縮が生じること、男性ホルモンが増えること、飢餓によりサーチュインが活性化することなどによって筋肉の崩壊を防いでいるということなどがあげられるとのことです。

もし熊の冬眠のような状態を擬似的に作ることが出来たら、、、熊に出来るなら我々にも少し真似することぐらいできるかもしれませんよね。

2013/03/16

脳卒中後経管栄養患者に対するVitalstimの効果

Kushner DS, Peters K, Eroglu ST, Perless-Carroll M, Johnson-Greene D.Neuromuscular Electrical Stimulation Efficacy in Acute Stroke Feeding Tube-Dependent Dysphagia During Inpatient Rehabilitation.Am J Phys Med Rehabil. 2013
嚥下障害治療機器にバイタルスティムという電気刺激装置があります。これは脳卒中後重度嚥下障害者に対するバイタルスティムの効果を検証したCase-Control Studyです。
対象は脳卒中急性期入院患者で経管栄養を必要とする重度嚥下障害者92人。65人はバイタルスティム+通常嚥下リハ、27人は通常嚥下リハを受け、約18日後の嚥下機能をFunctional Oral Intake Scale(FOIS)で比較検討しています。
刺激部位は臨床症状に応じ決め、80Hzくらいで軽く筋収縮が出る強さで刺激しています。

バイタルスティム群の方が通常嚥下リハ群に比べFOISで平均2ポイント有意差を持って改善を認めたとの結果です。
もちろんバイタルスティムだけで嚥下障害が完治するわけではありませんが、経管栄養を必要とするような重度嚥下障害者に対しても嚥下リハとの併用により嚥下機能向上が期待できる、とのことです。

2013/03/10

マイスリーの意識障害改善効果


Du B, Shan A, Zhang Y, Zhong X, Chen D, Cai K. Zolpidem Arouses Patients in Vegetative State After Brain Injury: Quantitative Evaluation and Indications. Am J Med Sci. 2013 Mar 4.
ゾルピデム(マイスリー)という睡眠薬は、植物状態の患者を覚醒させることが時に報告されており、その効果のほどを検証してみたとの報告です。
100人以上の脳外傷後の植物状態患者に対しマイスリー(10mg)を投与、1時間前後で比較をしてみた。

結果、いくつかの脳波上覚醒パラメーターに改善がみられ、脳血流の改善もみられたとのこと。(脳幹損傷患者に対してや長期効果という意味ではいまいちであったとのことですが。)
このマイスリーの不思議な作用はGABA-A受容体を介する脱抑制として説明されているようです。確かにマイスリーで夢遊病みたいになる人たまに見かけますが、、、マイスリー不思議な薬です。

2013/03/09

ボトックスの費用対効果分析

Ward A, Roberts G, Warner J, Gillard S.Cost-effectiveness of botulinum toxin type a in the treatment of post-stroke spasticity.J Rehabil Med. 2005;37:252-7.
ボトックス療法、結構お値段しますが費用対効果はどうなんでしょうか。これはボトックスとその他の抗痙縮療法との費用対効果を比較した報告です。

決定樹モデルを用いてCost-effectiveness modellingをしています。

結果ですが「金額/有効期間」で比較してみると初回ボトックス投与は942ポンド、抗痙縮薬内服は1697ポンドということでボトックスの方が抗痙縮薬内服より費用対効果ありとのことです。

ボトックスには抗痙縮内服薬にみられる様な眠気の副作用もないので使いやすいですね。

脳卒中後上肢麻痺に対するボトックスのアクティビティー改善効果:メタアナリシス

Foley N,et al.Treatment With Botulinum Toxin Improves Upper-Extremity Function Post Stroke: A Systematic Review and Meta-Analysis. Arch Phys Med Rehabil. 2012 Dec 19.
脳卒中後上肢麻痺に対するボトックス療法のメタアナリシスです。
データベースはMEDLINE, EMBASE, Scopus, and ISI Web of Science databasesを使用。脳卒中後上肢麻痺に対するボトックスのRCTでアウトカムがアクティビティーで測定されている論文を1985年から 2011年まで検索しています。

最終的には16の論文を抽出、その中でもサンプル数の多い10の論文を使用、Comprehensive Meta-analysisを用いてrandom effects modelにて結果の統合を行っています。結果ですが統合されたeffect sizes: 0.536 (95%CI:0.352-0.721)、ボトックスは脳卒中後上肢麻痺患者に対し中等度のアクティビティー改善効果がありそうです、とのことです。

2013/03/03

医学生の専門選択アルゴリズム

Physician, know thyself BMJ 2005;331:1529 以前BMJに掲載された医学生が専門領域を選択するアルゴリズムだそうです。
面白いのですが?なところも多いので、もっとユーモアがあり皆、納得できる物ができると楽しそうです。

2013/03/01

寝たきり患者における経管栄養導入後の生命予後

Kosaka Y, Nakagawa-Satoh T, Ohrui T, Fujii M, Arai H, Sasaki H. Survival Period After Tube Feeding in Bedridden Older Patients. Geriatr Gerontol 2012;12:317–321.
寝たきり高齢患者が経管栄養導入後、どれくらい生きられているのか検討した日本からの報告です。対象は嚥下障害のある寝たきり高齢患者163人、経管栄養導入後の生存期間について検討しています。
寝たきりになってすぐ経管栄養導入された患者さんは生存期間が短かった。

特に早期に肺炎を起こす症例ほど、生存時間が短かった。
経管栄養を導入した寝たきり患者の多くは、半年くらいで肺炎で亡くなられるとのことです。寝たきり高齢者の経管栄養導入の可否について考えさせられる論文ですね。

磁気刺激を応援するクラウドファンディング「脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい」

磁気刺激療法を応援するクラウドファンディング「 脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい 」がREADYFORにて行われています。 https://readyfor.jp/projects/hosp_mie-rehabil 経頭蓋磁気刺激療法は脳卒中治療ガイドライ...