2011/04/30

過度な栄養摂取は酸化ストレスと炎症反応により動脈硬化を引き起こす


Primary and Secondary Prevention of Cardiovascular Diseases: A Practical Evidence-Based Approach. Mayo Clin Proc. 2009;84(8):741-757.

食事と酸化ストレスの関係を調べていて見つけた論文です。
これは酸化ストレスの指標であるNitrotyrosin、炎症反応の指標であるCRP、血管の柔軟性の指標であるFMDの変化と食事との関係をみた図です。食後、酸化ストレスが発生し、それと共に炎症反応が上昇、また同時に血管の柔軟性が低下しています。

人間、栄養摂取という行為自体で体内に炎症が生じるということ。「栄養ストレス→炎症→動脈硬化↑」という構図ですね。これは食後血糖値上昇にともない蛋白質と糖が結合する糖化(グリゲーション)に由来するもののようで、もちろん必要なカロリー摂取は必要なのですが過度に食べ過ぎると血管がさびちゃうよ、ということを示唆しているのでしょう。また耐糖能異常はある人は食事に気をつけないと寿命が縮みます、ということだと思います。重症患者において血糖値を低めにコントロールすることで予後が良くなることやカロリーリストリクションにアンチエイジング効果があることが報告されていますが、これがその根拠の一つかもしれません。

2011/04/23

脳卒中後麻痺にSSRIが効く(FLAME Trial)


Fluoxetine for motor recovery after acute ischaemic stroke (FLAME): a randomised placebo-controlled trial.The Lancet Neurology, Volume 10, Issue 2, Pages 123 - 130, February 2011
最近Lancet Neurologyに掲載されました脳卒中後の麻痺に対するFluoxetine(SSRIの一種)の有効性を証明したFLAME Trialについての論文です。

ダブルブラインドRCTでFugel Meyerのmotor scaleが55以下の急性期脳卒中患者118人をSSRI群とPlacebo群に分けています。

メインアウトカムである90日後のFugel Meyer scaleはSSRI群で有意に改善がみられています。また上肢・下肢ともに効果ありとの判定です。研究デザインもしっかりしておりエビデンスレベルも高いので、本研究結果は脳卒中治療ガイドラインにも載るものと思われます。

2011/04/13

カロリーリストリクションの効果:みため・寿命・脳

Colman RJ et al.Caloric restriction delays disease onset and mortality in rhesus monkeys.Science : 325(5937):201-4. , 2009

アカゲザルを対象にカロリーリストリクション(CR)の有用性を決定付けた論文です。観察期間は20年、38匹づつCR群と自由摂取群に振り分け、CR群はコントロール群に対し30%のカロリー制限が行われた。

①みため
左が自由摂取、右がCR。左の方が毛並みも悪く、背中も曲がって、しわも多いのがわかると思います。


②加齢に伴う死亡率

加齢に伴う死亡は自由摂取群では37%であったのに対し、CR群では13%であった。(もちろん総死亡率においてもCR群で有意に低下がみられた。)

③脳萎縮
いくつかの脳の領域において自由摂取群の方がCR群に比較し有意に脳が萎縮していた。

現時点でほぼ唯一確立されたアンチエイジング法であるカロリーリストリクションですが、本研究によりその地位は不動のものとなりました。アンチエイジング介入効果の実証はヒトでの研究が困難ですが、同じ霊長類であるサルで効果が確認されたためヒトにも有効であろうということです。

カロリーリストリクション レビュー

Fontana L et al. Aging, adiposity, and calorie restriction. JAMA : 297(9):986-94. Review. , 2007

カロリーリストリクションのレビューです。現在、アンチエイジング効果がほぼ証明されているのはcalorie restriction(CR):カロリー制限と運動習慣くらいでしょうか。(あとはいくつかの抗酸化サプリメントが有力候補)
特にCRは様々な動物で再現性のあるデータが出ています。CRとは摂取カロリーを必要カロリーよりもやや少なめに設定するということ。CRはサーチュイン遺伝子を介して抗酸化作用を発現します。
またCRにより長寿マーカーである①低体温②低インスリン血症③高DHEAS血症が観察されます。

しかし、どんな人でもカロリー制限すれば良いわけではなく高齢者や低栄養患者、未成年、妊婦にはむしろ有害である可能性が高いです。
もっと詳しく知りたい人はCalorie Restriction Societyのホームページにいけばいろいろ情報がありますよ。

2011/04/06

サクセスフルエイジングに対する身体活動の効果

Physical activity at midlife in relation to successful survival in women at age 70 years or older.Arch Intern Med. 2010 Jan 25;170(2):194-201.
高齢女性を対象に、中年期の身体活動がサクセスフルエイジングに与える影響を検討した論文です。Successful Survivalの定義としてはno history of 10 major chronic diseases or coronary artery bypass graft surgery and no cognitive impairment, physical impairment, or mental health limitations.としています。

結論ですが身体活動量の多い者は少ない者にくらべ、Successful Survival率が高いとのこと。身体活動に健康寿命を延長させる効果がある、ということを示唆しているのではと思います。このようなアンチエイジングの指標をアウトカムにした研究、今後増えるといいなぁと思っています。

2011/04/05

身体活動は血管年齢の老化防止に役立つ


Aoyagi Y et al.Yearlong physical activity and regional stiffness of arteries in older adults: the Nakanojo Study.Eur J Appl Physiol:109(3):455-64,2010
高齢者における動脈硬化の進行と身体活動性との関連を調べた研究です。動脈硬化の指標としてアンチエイジングの世界で広く用いられている脈波伝播速度(PWV)を使用、身体活動量により対象をQ1-4と分類しています。(Q4が最も活動的)

活動的な者(3METs以上の運動を1日16分以上してる)はΔPWVの増加が少なく、身体活動には動脈硬化を阻止する効果があるとの結論です。適度な身体活動には血管年齢の老化予防効果がありそうです。

2011/04/04

大腸がん患者の寿命に対する身体活動の効果



Meyerhardt JA et al.Physical activity and male colorectal cancer survival. Arch Intern Med : 169(22):2102-8, 2009
身体活動が大腸がん患者の生命予後に与える影響を調べた論文です。

身体活動量が高いほどがん関連死亡率が低かった。

身体活動量が高いほど全死亡率が低かった。

そして年齢、病期、BMI、腫瘍の位置や診断前の身体活動性に関わらず、身体活動はがん患者の余命を延長させたとの結論です。

2011/04/03

低~中強度の運動が認知に良い


BDNF induction with mild exercise in the rat hippocampus ラットの研究ですが、低~中強度の運動が海馬における神経新生物質BDNF(Brain-derived neurotrophic factor:脳由来神経栄養因子)の遺伝子を誘導させる効果があったとの報告です。

ちなみに、高強度の運動はストレスホルモンの影響により、かえって逆効果の可能性があるとのこと。高齢者の認知機能維持・改善にはATレベル以下の運動が有効である可能性があります。

2011/04/02

牛乳の筋力増強効果


Josse AR et al.Body composition and strength changes in women with milk and resistance exercise.Med Sci Sports Exerc : 42(6):1122-30 , 2010


女性で、レジスタンス運動前後に500mlの牛乳を飲んでもらうと、飲まなかった群に比べ脂肪量や筋力などに差があるかをみた研究です。

結果はbench pressなどで筋力向上効果が、また脂肪量の減少効果がみられた、とのことです。飲む量がちょっと多いのですが牛乳にはリハの効果を引き出す作用がありそうです。

神経医学関連誌のインパクトファクター(JCR2018)

LANCET NEUROLOGY 28.755 Nature Reviews Neurology 21.155 ACTA NEUROPATHOLOGICA 18.174 Alzheimers & D...