2012/09/28

脳卒中患者に対するベッドサイド嚥下リハの効果

The effect of bedside exercise program on stroke patients with Dysphagia. Ann Rehabil Med. 2012;36:512-20.
ベッドサイド嚥下リハにどれくらい効果があるのか検討した報告です。

脳卒中後嚥下障害者50人を介入群と対照群にわけ、対照群にはアイスマサージのみを、介入群には毎日1時間のベッドサイド嚥下リハ(口腔、咽頭、喉頭、呼吸リハを含む)を2ヶ月間行った。

結果ですが、VFでは口腔相に有意な改善あり

FOISも有意に改善


Stroke-Specific Quality of Lifeスコアの項目のいくつかも有意に改善ありとのことです。

今回、行ったベッドサイド嚥下リハの詳細は以下の通りです。
・oral exercise included lips, tongue and jaw exercises.
・oralpharyngeal exercise included tongue movement, including puling and reaching soft palate with the tip and soft palate exercise, such as yawning and straw blowing, as well as the Shaker exercise.
・laryngeal exercises were performed, including airway closure, vocal cord adduction and breathing exercises.
・respiration exercise to facilitate swallowing, ef ortful swallowing and supraglottis swallowing were exercised.

脳卒中亜急性期の嚥下障害に対してもベッドサイド嚥下リハが大切とのことです。

2012/09/22

東大SPH受験記

 2年前にブログにも書いたのですが、以前から臨床研究をもう少し系統的に勉強したいと思っていました。そしてここ1年くらいで医局員が増えたこともあり、東京大学・公共健康医学専攻(東大SPH・公衆衛生大学院)を受験させて頂きました。
 東大SPHについては、とある統計セミナーで知り合った方から教えて頂いたのと、「流れがわかる研究トレーニング」に臨床研究を学ぶ場として紹介があり、興味を持ちました。募集定員は30名(2年コース約20名、1年コース約10名)です。実務経験が足りたので1年コースにて志願しました。英語とマークシートと筆記、1年コース希望者には小論文が追加で課されます。

・試験準備
勉強始めたのは試験の3,4ヶ月前だったと思います。とりあえず過去問を5年分ときました。英語は公衆衛生に関係する英文の読解問題4問です。マークシートは公衆衛生全般についてで、STEP公衆衛生やサブノートなどで勉強しましたが医療統計学と医療情報学の問題は難しく、なかなか勉強しづらかったです。(日本医療情報学会の教科書買いましたがあまり役にたちませんでした。)筆記は10のジャンルから4つ選んで解答するもので、実際どれを選択するか事前に5つくらい決めておくと良いと思います。


・一次試験
100人以上受験していました。やや女性の比率が多かったでしょうか。英語、少し時間が足りませんでした。マークシートは10分くらい時間余りました。筆記は医事法と医療倫理と健康教育と精神保健を選択しましたが、あとで見直していたら医療倫理より公衆衛生調査方法論のほうを選択したほうが良かったと思いました。小論文は「自らの実務経験に基づいて、公衆衛生上の課題と対策について論ぜよ」という課題でした。私はサルコペニア予防対策について記述しました。
合格発表は2次試験の前日夕方に東大に見に行きました。1次試験合格者は36人でした。

・二次試験
二次試験は面接のみで朝7時半くらいに集合でした。(2グループに分かれており、1年コースは午前、2年コースは午後?といった印象でした。)1人づつ、呼び出されて面接室へ。面接室にはSPH担当教員がほぼ全員勢揃いでした。(15人くらいいらっしゃったでしょうか)まず志望動機を聞かれ、結構ハードなコースワークだけど大丈夫か、聞かれました。また嚥下リハのアウトカムについてと基礎研究の経験について聞かれ、あとはひたすら小論文の内容について聞かれました。(サルコペニアの予防についてに、電気刺激のエビデンス、体組成計の信頼性、介護予防事業についてなどなど)最後に、英語の点数が見劣りするけど時間が足りなかったですか?と聞かれました。10分くらいで終了しました。

・合格発表
二次試験の一ヵ月後合格発表があり、東大まで見にいきました。自分の番号見つけてほっとしました。35人が合格(1年コース:13人、2年コース:22人)という結果で、二次試験ではほとんど落とされなかったようでした。発表の翌日、合格通知書が届きました。

 今回の件に関しまして、進学に御理解頂いた上司の方々と家族、受験に際しアドバイス頂いた東大の先生方に感謝致します。臨床研究について系統的に学ぶチャンスを得たこと嬉しく思います。日常臨床におけるリサーチクエスチョンを昇華していきたいと思います。

2012/09/06

コップの形によって飲酒速度が変わる

Angela S et al. Glass Shape Influences Consumption Rate for Alcoholic Beverages. PLoS ONE 7(8): e43007. 2012
コップの形がアルコール・非アルコール飲料の飲む速度に与える影響について検討したユニークな報告です。
159人を対象に、Aのような真っ直ぐなコップとBのような真っ直ぐでない形状のコップをランダムに用い、 ビールとソフトドリンクを飲んでもらった。

結果ですが、真っ直ぐでないコップを使った方が真っ直ぐなコップを使うより飲むスピードが早かった。これはビールで観察されたが、ソフトドリンクでは観察されなかった。真っ直ぐでないコップは飲酒量の認識を狂わせ、飲酒量が増えてしまうのではないかとのことです。

こちらは、瓶の形状が最大飲酒速度に与える影響を計測する人々(笑)

2012/09/05

Dysphagia Research Societyにおける研究トレンド

A Bibliometric Review of Published Abstracts Presented at the Dysphagia Research Society: 2001–2011.DYSPHAGIA 2012
アメリカの嚥下学会であるDysphagia Research Societyの2001年から2011年における抄録から、嚥下研究の動向についてみてみたとの報告です。

全部で972の演題がありました。
横断研究が34%、ケースシリーズが21%、コホート研究が28%でした。
正常嚥下動態に関する研究が27%で一番多かったです。

発表者の国籍はアメリカ63%、アジア21%(そのほとんどは日本)、カナダ8%の順でした。また直近の発表者の職種はSLP(アメリカのST)が46%、歯科医師が14%の順でした。その他、大人の研究は88%なのに対し子供の研究が7%、動物研究が3%と少ないとのことでした。

もっと小児の研究や動物研究、RCTが増えるといいね、と考察されています。それにしても日本勢の、特に歯科医師の活躍ぶりを再確認できる結果だと思いました。

磁気刺激を応援するクラウドファンディング「脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい」

磁気刺激療法を応援するクラウドファンディング「 脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい 」がREADYFORにて行われています。 https://readyfor.jp/projects/hosp_mie-rehabil 経頭蓋磁気刺激療法は脳卒中治療ガイドライ...