2016/05/01

脳梗塞後tPA投与例に対する超早期リハの安全性と有効性

Very Early versus Delayed Rehabilitation for Acute Ischemic Stroke Patients with Intravenous Recombinant Tissue Plasminogen Activator: A Nationwide Retrospective Cohort Study. Cerebrovasc Dis. 2016;42:41-8.
脳梗塞では急性期にtPA療法が行われていますが、tPA後のリハ開始時期はどれくらいが良いのでしょうか?これはtPAを施行された脳梗塞患者を対象に超早期リハの安全性と有効性を検討した日本からの報告です。

tPAを施行された9690人のデータより超早期リハ群(tPAの翌日までにリハ開始)4266人と対照群(tPAの翌々日にリハ開始)1887人のデータを比較しています。

解析した結果、超早期リハ群の方が退院時機能自立者が多く、tPA後の脳出血や7,30,90日死亡率に関しては差がなかったとの結果です。(多変量解析や操作変数法を用いた解析でも同様の結果)
tPA後のリハはやや遅れがちになる傾向にあるかもしれませんが、tPA症例に対する早期リハは有害事象を増やすことなく有効に実施することができるのではないかと思います。

PPI使用者とH2ブロッカー使用者、脳卒中後肺炎はどちらに多いのか

Proton Pump Inhibitors versus Histamine-2 Receptor Antagonists and Risk of Pneumonia in Patients with Acute Stroke. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2016;25:1035-40.
脳卒中患者を対象にプロトンポンプ阻害薬(PPI)使用者とヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)使用者で肺炎の発症率を比較した日本からの報告です。

22万人の脳卒中患者データより、PPI使用者13910人、H2RA使用者63980人を抽出

二群間で肺炎発症率を比較した結果統計学的な有意差はなく、傾向スコア解析やサブグループ解析でも同様の結果であったとのことです。
PPIやH2RAを使用すると脳卒中後肺炎の発症率が上がると言われていますが、PPIとH2RA間ではそれほど差はなさそうです。

脳卒中に対する末梢磁気刺激治療の効果(コクランレビュー)

Repetitive peripheral magnetic stimulation for activities of daily living and functional ability in people after stroke. Cochrane Database of Systematic Reviews. 27 October 2015.
脳卒中に対する末梢磁気刺激の効果に関するコクランレビュープロトコルが発表されました。日本でもPathleaderなどの末梢磁気刺激治療機器が販売されています。電気刺激に比べ手軽に痛みなく末梢の筋や神経を刺激することができるので良い方法ではないかと思います。

DPCデータベースを使用したリハ医学研究

最近、DPCデータベースなどのビッグデータベースを用いたリハ関連領域の発表が増えてきています。特にDPCデータ調査研究班のデータセットを用いた論文が増えています。リアルワールドにおけるリハの効果を検証したり、リハ関連の政策の方向性を検討するには良い方法ではないかと思います。

日本リハビリテーションデータベース


日本リハビリテーションデータベースはリハ医学会・PTOTST協会が協力して構築したデータベースです。最近、本データベースを用いたリハ関連論文が海外の英文誌にも複数報告されています。すでにデータ収集期間は終了していますが、研究計画書を提出すればデータの二次利用が可能とのことです。

コクラン日本支部設立

コクラン日本支部がついに設立されました。コクランシステマティック・レビュー(コクラン共同計画の手法に基づき、診療課題に対する臨床研究を網羅的に探し出し、研究の質を評価した上で、統計学的にメタ解析すること)におけるタイトル登録のやり方、Revman(メタ解析やコクランレビューの執筆を行うためのフリーソフト)の使い方、GRADEシステム(エビデンスの質と推奨の強さを系統的にグレーディングする方法)の手法、プロトコール・フルレビューの書き方について、年に数回ワークショップが開催されています。近年、リハ分野においてもシステマティックレビューや診療ガイドライン作成においてこのような、レビューに関する知識を有する人材が求められているように思いますが、そのような人材はまだまだ不足しているのが現状です。リハ分野でもコクランレビューがかけるような人が増えるといいなと思っています。

コクランレビューを実施するにはまず、レビュータイトルを登録する必要があります。Cochrane Musculoskeletal Groupのタイトル登録用紙はこちらです。過去にコクランレビューがないもので、RCTがひとつ以上ありそうで、臨床的にも重要な内容のほうが登録してもらえるそうです。リハ関連のコクランレビュー、過去にどのようなものがあるかお知りになりたければEur J Phys Rehabil Medに掲載されたコクランレビューのレビューがありますのでこちらを見て頂けたらと思います。過去のリハ関連コクランレビューがリスト化されています。

Traumatic Brain Injury Model Systems National Database

Traumatic Brain Injury Model Systems National Database (TBIMS database)
世界最大の脳外傷リハ患者の症例登録データベースです。13666人もの脳外傷患者のデータが最長25年フォローアップされています。研究計画書を提出すれば誰でも二次利用可能です。どのような変数が含まれているかはこちらで見ることができます。(脊髄損傷のデータベース熱傷リハ患者のデータベースもあります。)本データベースを使用した論文も複数出版されていますが、本データベースを使用して発表すべき研究テーマはまだまだたくさんあるように感じます。

The Center for Large Data Research and Data Sharing in Rehabilitation (CLDR)

The Center for Large Data Research and Data Sharing in Rehabilitation (CLDR) 
リハビリテーション関連のビッグデータベースを用いた研究・教育・共有を目的とした施設です。さまざまなビッグデータを利用することができ、それらを用いたリハ研究が続々と発信されていますVisiting Scholarshipの制度もあり、短期留学の受け入れも可能とのこと。日本にもこのような研究センターがいつかできれば、と思います。

2015/11/05

日本リハビリテーション栄養データベース

日本リハビリテーション栄養データベース(Japan Nutrition Rehabilitation Database)のデータ収集が開始になりました。現在、協力してくれる施設を募集中だそうです。脳卒中、大腿骨近位部骨折、肺炎のデータを集めるとのことです。
http://rehabnutrition.jimdo.com/

2015/08/30

大腿骨近位部骨折リハ患者に対するリハ科専門医の効果

Impact of board-certificated physiatrists on rehabilitation outcomes in elderly patients after hip fracture: An observational study using the Japan Rehabilitation Database. Geriatrics & Gerontology International. 26 AUG 2015.
リハ科専門医の関わりが大腿骨近位部骨折リハ患者の機能改善に寄与しているかどうかを検討した論文です。

日本リハデータベースより824人の大腿骨近位部骨折リハ患者(回復期)を抽出、主治医がリハ専門医を有しているかどうかでFIM effectiveness(ADLの改善度合い)を比較しています。
全体の46%の患者の主治医はリハ科専門医を有していた。(整形外科専門医とのダブルライセンスの人も多いと思われます。)

主治医がリハ科専門医であった患者はそうでなかった患者に比べFIM effectivenessが有意に大きく、在院日数も短かった。また、施設ごとのデータのクラスタリングを一般化推定方程式を用いて補正し、傾向スコアの逆数重み付けにてベースライン共変量を調整した結果も同様であった。

リハ科専門医を有する医師が大腿骨近位部骨折リハ患者の主治医として関わることが機能改善、早期退院に寄与していそうだ、とのことです。リハ科専門医はかなり不足しているのが現状、日本のリハ医療の質を向上させるためにも、今後より多くのリハ科専門医が必要ではないかとのことです。