2011/03/31

歩行速度と寿命

Gait Speed and Survival in Older Adults.JAMA. 2011;305:93-94.
今年JAMAに掲載された「歩行速度で余命が予測できますよ」というアンチエイジングリハを考える上で非常に重要な論文です。
歩行速度が遅い人ほど寿命が短いのが一目瞭然ですね。歩行能力等の身体機能の維持が長生きにつながる、ということを示唆しているのだと思います。

2011/03/30

アンチエイジングリハビリテーション

ブログを作ってそろそろ1年になります。新年度はアンチエイジングの話題を多めに取り上げていこうかと考えており、心機一転ということでブログの名前も変えてみました。よろしくおねがいいたします。

2011/03/29

英文タイピング(スペーシングルール)


いつも英文タイピングで「これで良いのか?」に思うことに、どこにスペース打てば良いか、ということがあります。日本語にはそもそもスペースの概念が無いので間違えやすいのだと思います。
私が習ったのは「コンマ(,)とセミコロン(;)の後はスペース1つ、ピリオド(.)とコロン(:)の後はスペース2つ、括弧の外側にはスペース1つ。」といったところでしょうか。英文タイプライタでの原稿作成規則を見るともう少し細かなルールがあるようですね、注意したいです。
あ、少し話しがずれますが英文投稿や校閲・校生、ネイティブチェックのときRonbun.jpeditavenueが便利そうです。投稿先を探すにはJaneyやSJRが良さそうです。

2011/03/28

執筆時間の法則


アクセプトされる英語論文の法則に関するHPを見つけました。
松尾ぐみの論文の書き方:英語の論文

・執筆時間の法則:論文完成には初稿を書き上げるのにかかった時間の2倍の時間がかかる

・質の法則:論文の質は稿数に依存する。

アクセプトされる質に到達するまで、適度に稿を上げることで論文生産効率が良くなる。

とにかく初稿を勢いつけて書き上げ、その後時間をかけて何度も校正すること。

稿を上げられないくらい忙しければ、いずれにせよアクセプトされる質まで到達することができず生産効率がわるいのでそもそも執筆しないほうがいいとのこと。やっぱり熟考する時間が必要ということですね。

2011/03/23

経口摂取ピラミッド(改訂版)


経口摂取ピラミッドという、主に誤嚥性肺炎患者の経口摂取サポートプランを考えるための羅針盤です。

経口摂取能力は高次な機能であるため全身状態などに大きく左右され、経口摂取の可否は咽頭部所見だけで判断できないことが多いです。

このピラミッドは下から積みあげなければ上がのせられないことを意味しており、全身状態の改善や口腔ケアなどで土台をしっかりさせることが経口摂取につながることを意味しています。また、ピラミッドの土台が崩れると経口摂取能力も低下するため、土台が不安定になった場合は土台の安定化と経口摂取能力を一から再評価する必要があるということも意味しています。

全ての患者にこのモデルが当てはまるわけではないですが、経口摂取がうまく進まない場合に問題点を検討するのに有効です。

(リハビリテーション栄養プラン.総合リハ.2011.Vol.39.No.7.661-4)

2011/03/22

ジャルゴンの達人とカーブフィッター

アメリカのある編集者が論文にしばしば見られるあやしげな手法の保持者を分類したものです。

「データストレチャー」自分の得たささやかな結果をいじくりまわして、とても受け入れがたいような結論を導くもの。

「リサイクルの王者」同じデータを基に、何篇もの論文を執筆するもの。

「偉大なる奴隷解放者」不都合なデータをたくみに議論から外してしまう才能の持ち主。

私が最近目に付くようになったのは次の2つです。

「ジャルゴンの達人」アメリカ全土にも理解できる人間が僅かしかいないことを承知の上で、わざわざよくわからない専門用語を駆使することに喜びを感じる手合い。

「カーブフィッター」得られたデータに対し、その時の気分次第でそのような相関関係を示す直線(時には曲線でも)でも引ける人間。

時々学会とかでも見かけますよね。ですが見る人が見ればバレちゃいます。


参考文献:サイエンティストゲーム・学会出版センター

2011/03/21

経口摂取ピラミッド(案)


これは当院で作った経口摂取ピラミッドなる物です。うちの病院では誤嚥性肺炎で入院されてくる嚥下障害患者さんが多いのですが全身状態、意識状態、呼吸状態が落ち着かないうちからどんどん食べさせようとする医師や栄養サポートをおざなりにしている医師が時々いるため、それを何とかするツールとして作りました。

基本的には高齢誤嚥性肺炎患者に対する経口摂取のサポートを考える(主に入院中・亜急性期くらいの)ための概念図です。
このピラミッドで主に言いたいことは、経口摂取能力は高次な機能であるため全身状態などに大きく左右され、経口摂取の可否は咽頭部だけ見て判断はできないということ、あと栄養サポートが最も基本となるということ、経口摂取の前に口腔汚染を何とかする必要があるということです。
ピラミッドは下から積み上げなければ上がのせられないことを意味しており、栄養が全てのかなめであること、全身状態の改善や口腔ケアなどで土台をしっかりさせることが経口摂取につながるということを意味しています。

今後このピラミッド図を広めていこうとも思っているのですが、いかがなものでしょうか。順番がおかしいよとか、これは無くてもとか、これは追加した方が、とか何かありましたらTwitterの方でも良いのでご意見いただけたらと思います。よろしくお願い致します。

(改訂しました。)

2011/03/20

Varibar : 標準化されたトロミつきバリウム


Varibarはアメリカで嚥下造影に用いられている、標準化されたトロミつきバリウムです。アメリカの嚥下学会で情報仕入れてきましたので報告します。
E-Z-EMが作っているもので粘度によってThin、Nectar、Thin Honey、Honey、Puddingの5種類があり、これを使用することで粘度の自己調整が不要となり検査の再現性も高まります。各粘度は以下の通りです。(単位はcP)

ちなみにNational Dysphagia Dietのトロミ水の基準は次の通りです。微妙にちがいますね。

しかし、問題はそれだけではありません。というのは粘度の測定条件(粘度計のローターの回転数)がそれぞれ異なるのです。(特に日本でよく用いられる回転数はかなり低回転)さらさらの水のようなニュートン流体は良いのですが、トロミ水のような非ニュートン流体では回転数によって粘度の結果が違ってきます。トロミ水測定条件の統一化が望まれます。

アメリカのトロミ剤は、やはり日本の物よりべたべたしていますね。日本のトロミ剤は世界一だと感じています。

2011/03/18

危機対応時における情報のハブの有用性


危機対応時における「情報のハブ」の有用性 : 聖路加国際病院の事例研究から
これはサリン事件のとき聖路加病院がなぜ、あれほどうまく機能したのかを検討した論文です。
結論としては「情報のハブ」のような存在、つまり「情報を発信しようという意思をもった人間」の存在が重要であったとしています。
彼らは全体的な視点(メタ視点)と常日頃から情報ネットワークを持っていたとも書かれています。そして彼らが自律的に動くことが罰せられない組織であったことも情報発信の促進剤であったと。

今回の震災のような危機に際しても、情報をまとめ発信・共有していく人間の存在が非常に重要だと感じています。

2011/03/14

災害時のリハビリテーション


災害時のリハビリテーション 日本リハビリテーション医学会誌 34(5), 320-326, 1997-05-18 阪神大震災時のリハビリテーション活動に関する貴重な報告です。

震災後どのような患者にどのようなリハが必要であったかということが詳細に報告されています。また災害時、外科医や内科医のみならず急性期から精神科医、リハ医の介入が必要であったとしています。

これは著者があげた災害時の6つのリハビリテーション活動です。今回の東北の地震に関してもこのような活動を通してリハ関連職種が介入できるのではないかと思います。

有珠山噴火時の病院避難 : 特に脳卒中後遺症リハビリテーション対象者の動向についても参考になりそうです。
このような稀な状況に際しては過去の報告が参考になりますね。やはり貴重な経験や症例に関しては、論文等にまとめて報告することが非常に重要なのだと再認識しました。

2011/03/13

被災地における廃用予防対策

過去、災害を契機に廃用症候群に陥った高齢者がたくさんいます。

廃用症候群(以下廃用)とは安静状態が長期間続く事によって生じる、さまざまな心身機能の低下(筋力低下、歩行能力低下、体力低下、うつ等)を指します。安静臥床を強いられた入院患者さんなどでよく見られるのですが、今回の東北の地震後も同じことが起こるのではないかと懸念されています。
人間、1週間の絶対安静で10~20%の筋力低下が生じると言われています。避難所などでの生活は「動くに動けない」環境のため「生活が不活発」になり、廃用がおこります。特に被災地の高齢者は廃用に注意です。

新潟県中越地震のとき、非要介護認定者の約3割に災害後に歩行困難が生じ、そのうち4割弱(全体の1割強)が6ヵ月後にも回復していなかったそうです。


そして、日中活動性に低下のある高齢者はなかなか歩行能力が回復しなかったそうです。

廃用を予防するにはどうすればよいでしょうか。一番重要なのは日中しっかり起きて活動してもらうことだと思います。避難所では、昼間は毛布をたたんでもらいましょう。また活動しやすいように避難所の環境を整理してもらったり、昼間の生活の場所を確保することも重要かもしれません。
ボランティアの方は、災害で打撃を受けているのだから無理をさせてはいけない、と過保護になりすぎる可能性もあります。被災者にかかわるスタッフに対し、廃用に関する啓蒙が必要かと思います。

現時点では衣食住が最大の課題ですが、後々このような廃用の問題が出てくると思われます。
災害の復旧活動はリハビリテーションの概念そのものです。また、リハ栄養の見地からも被災地における食料供給は重要な問題であると言えます。
災害支援におけるリハ関連職種の介入の余地、いろいろあるのではないかと考えています。

引用文献
生活機能低下予防マニュアル
災害時支援の新たなターゲットとしての生活機能

2011/03/12

コンビニから物がなくなった日


地震2日目、交通機関の麻痺は改善したようですが、コンビニに行くと物がごっそりなくなっていました。交通麻痺も意外でしたが、この物流障害も予想外でした。このように間接的な障害がいろいろ起こってくることは知りませんでした。早く落ち着いてくれると良いのですが。

東北地方太平洋沖地震 役立ちそうな情報

昨日の地震はすごかったですね。東京の病院では大きな被害はなかったようですが、うちの医局の本棚が壊れて、本が落ちてきました。交通麻痺にて帰宅難民も沢山いましたね。
ツイッターでは嘘か本当かわからないような情報がRTされつづけています。冷静に真偽を判断したほうが良いでしょう。個人的に役に立った情報だけ掲載します。

阪神・淡路大震災教訓情報資料集

内科医のための災害医療活動

地震が起こる前にこれだけはしておけ!

地震速報

気象庁 津波警報・注意報

災害用伝言ダイヤル

避難所情報

鉄道遅延情報

Ustream

こんなとき役立ちそうな情報をまとめ発信することは重要なはず。阪神・淡路大震災の時の文献などで役立ちそうなもの無いか探してみます。

2011/03/08

アメリカ嚥下学会(DRS)体験記 (後半)

DRSのオーラル会場です。今回は例年よりシンポジウムなどより一般演題が充実していたと聞きました。また耳鼻科領域の嚥下障害の話題が多かったです。なんと300人近くの参加者のうち50人くらいが日本人(多い!)でした。また日本人のオーラル発表は3,4題、ポスター発表はたくさんありました。

産業ブースのところには内視鏡やトロミ剤、嚥下圧測定器、嚥下の電器刺激器などが展示されていました。朝ごはんはここで自由に摂ることができ、休み時間の間もお菓子や飲み物が山積みになっていました。2日目のお昼にはハーゲンダッツの冷蔵庫まで置いてありましたね。

ポスター会場です。(人がいないときに撮ってます。)ポスター発表者はある時間帯にポスターの近くにいるようにとの指示がありましたが、特にオーラルの設定等はなかったです。日本のポスター発表に比べ積極的に質問されました。ポスターは横長でピンかベルクロで貼りました。ほぼ全て一枚刷りポスターです。3日間で演題はいろいろあり、細かいことはまた後日取り上げますが、個人的にはトロミ水関連、嚥下筋の筋トレ、さまざまな刺激療法の話が興味深かったです。特に
Device-Facilitated Interventions
A New Way to Measure Sensation Intensity
の2セッションが面白かったです。

クロージングセレモニーでは大会長のStevenから次回大会長のRosemaryへ帽子が渡されました。来年のDRSはカナダのトロントで開催予定です。あと、ヨーロッパの嚥下学会が本格的に活動するようですね、こちらもいつか行きたいです。

今回、日本からの参加者の半分は歯科医で、あとはリハ医・耳鼻科医、その他といった感じでした。日本の先生方との交流が深まりましたね。歯科の先生方と飲みに行ったりして楽しかったです。非常に幸運な出会いやリサーチクエスチョンの発見もいくつかあり、本当に参加して良かったです。

成田に着いたら雪が降っててびっくりしました~。成田エクスプレスの中でブログの内容を考えながら帰りました。

2011/03/07

アメリカ嚥下学会(DRS)体験記 (前半)

2011 Dysphagia Research Society Annual Meeting. San Antonio,Texas. 3/5~3/5, 2011.
アメリカのサンアントニオで3/3-5に開催されたアメリカ嚥下学会Dysphagia Research Society(DRS)に今回初めて参加してきましたので報告させていただきます。そもそもDRSのことを知ったのは、とある嚥下の忘年会で歯科の先生に教えていただいたのがきっかけでした。

成田からコンチネンタルで出発です。すべて画面でチェックインする形でした。高齢の方には厳しいのでは?と思いました。

機内食、見た目より美味しかったです。お酒は有料、サービスはうわさほど悪くなかったです。映画が見放題でした。飛行機は大体12時間くらい、2,3日前からメラトニンでプライミングしていたためJet-Lagは軽かった気がします。

ヒューストン空港で乗り換えました。ここで日本の先生の姿がちらほら見られました。乗り換え時間は90分、大きな空港で旅行者も多く、移動も大変だったため本当にギリギリセーフでした。

サンアントニオ空港に到着。ターミナルも2つしかなく、こじんまりとしています。

学会場であるOmni La Mansion Del Rio Hotelのエントランスです。

プールもありますが気温のこともあり泳いでいる人はいませんでした。

ホテルから外に出ると美しい景色が。川沿いにたくさんのカフェやレストランが並んでいました。ロケーションは抜群です!あと、花粉症がなおりました。

学会場にはポスターを貼る都合もあり前日に入りました。会場に行くときていたのは日本人ばかりこんなところでもやはり日本人はまじめでした。

会場の入り口にはDRSの情報がたくさんおいてありました。DRSのTシャツもありますね。

下が抄録集、上がDRSの公式雑誌Dysphagiaです。学会は明日からです。

2011/03/05

第1回ヨーロッパ嚥下学会




1st Congress of the European Society of Swallowing Disordersが2011/9/8-10,オランダで開催予定です。開催母体はEuropean Study Group for Dysphagia and Globus、演題〆切は5/15とのことです。DRSで宣伝があり、皆さん来て下さいとのことでした。

磁気刺激を応援するクラウドファンディング「脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい」

磁気刺激療法を応援するクラウドファンディング「 脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい 」がREADYFORにて行われています。 https://readyfor.jp/projects/hosp_mie-rehabil 経頭蓋磁気刺激療法は脳卒中治療ガイドライ...