2010/12/31

ISPRM2011のプログラム(日本語訳)

ISPRM(国際リハ学会)2011のプログラム(日本語訳)がこちらでみれますよ。


プレコングレス

痙縮のマネジメント
筋骨格系の超音波
軟部組織損傷の局注治療
スポーツに特有の外傷の評価とマネジメント

本会議

リハビリテーション医学における介入テクニック、過去・現在・未来
外傷性脳損傷21 世紀
医学におけるプロフェッショナリズムと倫理
我々の立場は
リハビリテーション医学の進歩:遺伝学と工学
ワークショップ
リハビリテーションにおけるWii の応用
脊椎のMRI
腰椎の身体所見法
肩の身体所見法
身体所見におけるASIA の応用
肩障害のリハビリテーションにける運動療法
研究・分析における基本原理
低緊張児の臨床評価

注目会議

舞台俳優の下肢損傷
若年ACL 損傷のマネッジメント
スポーツ医学における運動と予防プログラム
神経リハビリテーションにけるロボット工学と支援技術
歩行分析の臨床応用
疼痛薬学:最近の知見
慢性疼痛における鍼治療と代替医療
教育と臨床実施における医学的技能
専門分野におけるトレーニング、認定、生涯教育
リハビリテーションにおける医学教育、基本カリキュラムの開発
腰背痛マネッジメントにおける介入治療法
神経筋疾患の遺伝学
再生医療とリハビリテーション
腕神経叢損傷における評価とマネッジメント
小児脊髄損傷における進歩

個人的にはリハビリテーションにおけるWii の応用が気になります。
今日、ISPRMの参加申し込みと演題登録しました。楽しみです!

皆さん、今年はお世話になりました。私はこれから年越し蕎麦を食べて来年の目標を立てたいと思います。良いお年をお迎え下さい。来年もよろしくお願い致します。

2010/12/28

認知症患者における自動車運転評価 ガイドライン


D.J. Iverson, D.J. Gronseth: Practice Parameter update: Evaluation and management of driving risk in dementia. Report of the Quality Standards Subcommittee of the American Academy of Neurology. Neurology: 2010; 74: 1316-1324.

最近、高次脳機能障害患者さんで自動車運転の可否を求められたことがありました。ぎりぎりアウトなんだよな、、、と思いつつ過去の報告を調べていたところこのアメリカ神経学会のガイドラインを見つけました。

運転危険な患者の発見に役立つものは
• The CDR scale (Level A)
• A caregiver’s rating of a patient’s driving ability as marginal or unsafe (Level B)
• A history of traffic citations (Level C)
• A history of crashes (Level C)
• Reduced driving mileage (Level C)
• Self-reported situational avoidance (Level C)
• MMSE scores of ≦24 (Level C)
• Aggressive or impulsive personality characteristics(Level C).

役に立たないものは
• A patient’s self-rating of safe driving ability(Level A)
• Lack of situational avoidance (Level C)


また評価方法のフローチャートして上記のものがあげられていました。

患者本人の申告は当てにならない(Level A)。 MMSE24点以下は危険とする報告もあるがなんとも言えない(Level C)。 あたりが参考になりました。 ただ脳卒中や脳外傷後の高次脳機能障害の患者さんに対しては通常の認知症と少し違う対応をしないといけないかな、と感じました。そのあたりのエビデンスの整理は今後の課題でしょうか。

2010/12/27

modified Evans blue dye test

気切してる人の嚥下評価に使用されるmodified Evans blue dye test(MEBDT)の有用性を検証した論文です。MEBDTといえば青い色素を付けた食べ物を食べてもらって、気切孔やサイドチューブから青いものが吸引できるかをみる検査です。なんと感度100%、特異度95%というかなり良い結果が出ています。気切してる人は内視鏡所見が見にくい場合も多く、VEよりMEBDTの方が簡便だしわかりやすい、ということは時々経験します。MEBDTは気切してる人の嚥下評価法としてはファーストチョイスと考えてよいのではないでしょうか。

2010/12/24

英語論文執筆に役立つソフト~対訳君医学版Accept~

私が科研費を始めてもらったとき真っ先に買った秘密兵器がこれです。対訳君は辞書と用例集の串刺し検索を行う翻訳支援ツールで、ようするに対訳集から例文・用法が検索できるソフトです。翻訳支援ツールは他にもいくつかありますが翻訳ソフトは論文執筆には使えないし、翻訳メモリーのうちどれが使えそうかといろいろ調べてこれにしました。(正確には翻訳メモリーと違うものかと思いますが) 一番のポイントは医学版である対訳君医学版Acceptがあるということでしょうか。定価で6万くらいするのですが、使ってみたところ医学論文に使える例文も豊富で本当に買ってよかったと思っています。業者に翻訳をお願いするとどうしても、意図したところが十分伝わらない文章になってしまうことが多いのですが、これなら納得のいく文章が出来上がると思います、おすすめです。
(ちなみにうちの医局にはメディカルライティングのスペシャリストがおり、かなり恵まれています。)

2010/12/22

訓練による脳量変化

Changes in grey matter induced by training. Nature 2004.
ジャグリングの訓練により視覚運動関連領域の灰白質量増大がみられたとするペーパーです。学習によりMRIT1画像でとらえられるlearning-induced plasticityが生じたとのこと。
Natureの論文ですがやってること自体はPETやfMRIをとったわけでもなく、MRI画像をじっくりみてみましたということだけ。訓練により脳の体積変化が生じるというところがすごいです。

2010/12/21

共著者の順序を決める数式?

論文を書くとき共著者の順番には気を使いますよね。各分野ごとにローカルルールがあるようですが厳密に決められたものは無いようです。
Winning the Games Scientists Playに共著者の順序を決めるための数式なるものが載っていて、面白かったので報告させていただきます。

実験の着想:C
実験計画:P
データ取得:Dac
データ解析:Dan
初回の原稿執筆:Pd
原稿の最終仕上げ:Ed
消費した時間:T
とすると

(4C+2P+2Dac+2Dan+Pb+Ed)/T
の式によって得られる数値の順番に著者順を決めるというもの。

共著者の順番を全自動で決めてくれるソフトを開発すれば、みんな科研費で買ってくれると思うのですがどうでしょうか(笑)

2010/12/20

疼痛に対するカプサイシンクリームの効果


Efficacy of Symptomatic Control of Knee Osteoarthritis with 0.0125% of Capsaicin Versus Placebo.J Med Assoc Thai 2010; 93 (10): 1188-95.
 タイで「カプシカ」というカプサイシンクリームをもらったので試用しているのですが、とても気持ちよく効きそうなので、どれぐらい効果があるのか調べていて見つけた論文です。効果はそれなりにありそうとのことですね。日本の病院ではまだ純粋なカプサイシンクリームの取り扱いがないのですが、そのうち出てくるのではと期待しています。


2010/12/19

食品のテクスチャー測定講習会

昔から嚥下食の物性に興味がありいろいろ測定したりしているのですが、先日すみだ産業会館で山電「やさしい食品のテクスチャー測定講習会」があり行ってきました。

実際、ゼリーやビスケットを食べながらその物性を測定しました。

解析結果を実際見ながらの実習。普通ではなかなか教えてもらえないようなこと学ばせていただきました、ありがとうございました。

2010/12/18

脳卒中後運動障害へのリハ効果:Lancet Neurology review

Motor recovery after stroke: a systematic review.Lancet Neurol 2009; 8: 741–54 
脳卒中後運動障害へのリハ効果に関する良質なメタアナリシスがLancet Neurologyに載ってました。このペーパーで取り扱いのあるリハ介入としては
• Electromyographic biofeedback
• Electromechanical-assisted gait training
• Fitness training or physical fitness training
• Repetitive task training
• Treadmill training
• Robotics
• Mixed approaches
• Motor learning
• Neurophysiological approaches
• Electrostimulation
• Splinting or orthosis
• Biofeedback: force and position feedback
• Neurophysiological approaches
• Bilateral training
• Constraint-induced movement therapy
• High-intensity therapy
• Mental practice with motor imagery
• Training with a moving platform
• Rhythmic gait cueing
• Walking aids
など非常に多岐にわたります。
上肢機能改善効果がみられたのは
constraint-induced movement therapy,
electromyographic biofeedback,
mental practice with motor imagery,
roboticsの4つ。

起立・立位バランス能力の改善効果がみられたのは
repetitive task training,
biofeedback, 
training with a moving platformの3つ。

歩行速度の改善効果がみられたのは
Physical fitness training,
high-intensity therapy,
repetitive task trainingの3つという結果でした。

かなりよくまとまっていますので是非御一読下さい。

2010/12/17

SMARTなリハゴール設定を

Goal-directed training: linking theories of treatment to clinical practice for improved functional activities in daily life.Clinical Rehabilitation. 2007
目的志向型訓練に関する論文ですが、SMARTなリハゴール設定が効果的であったとしています。

SMARTなゴールとは
 ・Specific(具体的な)
 ・Measurable(測定可能な)
 ・Achievable(達成可能な)
 ・Related(関連性ある)
 ・Time-bound(いつまでに)

ですね。たとえばただ「歩行能力向上」をゴールとするのでなく「3週間で屋内杖歩行自立」といったように具体的に期間を決めたゴール設定をすることが有効であると。これこそリハ医の仕事ではないでしょうか。

2010/12/16

throwaway journal 鑑別法

読むべき価値が無く、すぐにゴミ箱へ捨てられる運命にある雑誌(throwaway journals)とはどのようなものでしょうか。

Rennie D, Bero LA. Throw it away, Sam: the controlled circulation journals. CBE Views. 1990;13:31-35.

にはthrowaway journalの鑑別法が書いてあります。

throwaway journals can be defined as
(1) free
(2) carrying more ads than text
(3) not being owned by societies
(4) not publishing original work
(5) not cited
(6) variably subject to peer review
(7) deficient in critical editorials and correspondence

つまり無料で広告が多く、学会が発行したものでなく、原著論文がなく、引用文献の明示もない、 査読が不適切もしくは不十分な雑誌、ということです。
GIGO(garbage in, garbage out) ゴミからはゴミしか出てこない。
ゴミ+ゴミ=ゴミ。 throwawayされないようがんばります。

2010/12/15

第二言語学習による脳の構造変化


第二言語学習によりleft inferior parietal cortexに灰白質量の増大がみられたとするペーパーです。
学習効果がfMRIやPETによる脳機能画像ではなく「脳量」の変化としてとらえられた、というところが驚きです。まさにneuro plasticityですね。

2010/12/14

東京国際空港(羽田 )に行ってきました。

羽田、東京国際空港行ってきました。ソウル 台北 北京 上海 香港 バンコク シンガポール コタキナバル ホノルル サンフランシスコ ロサンゼルス ニューヨーク デトロイト ロンドン パリに便が出ています。とても便利です。

広いです。

全体的に日本の雰囲気が漂ってます。

和のイベントなども行われるステージがあります。

ここはどこ?不思議な感覚。


忍者Tシャツ欲しかったです。


ふろしきやさん

海外の人に喜ばれそうなお土産もたくさんあります。


こんなものまで。


アトムの乾パンがかわいかったです

 
プラネタリウムカフェが人気です。

和の物がいろいろ出てくるガチャガチャがありました。楽しいです!

2010/12/13

アジアニューロリハ学会 体験記3


2010ACNR2日目、学会テーマ"Neurorehabilitation:Innovation, Convergence & Education (NICE 2010) Congress" の名の通り教育的なシンポジウムが目白押しです。

ボトックスのガイドラインSpasticity in adults: management using botulinum toxinについてのお話は勉強になりました。ちなみにプログラムの進行は10分遅れくらいは当たり前でした。今回、学会参加者は500人弱、その多くはタイ人であったようです。(タイのリハ医は300人ちょっとというお話。)一般演題は60題弱、日本からの演題は私の演題を含め2題でした。シンポジストの多くは外から来ていたようでした。

Gala Dinnerではタイの民族舞踊や学会員の美人コンテスト!が行われました。
 
3日目、Medication(薬物療法)のシンポジウムと思って参加したら、Meditation(瞑想)のセッションだったということも、、、

今回の学会ではたくさんのすてきな笑顔をもらいました。2011/2/12には第2回日本ニューロリハビリテーション学会学術集会が名古屋で、2012/5/16-19には7th World Congress for Neurorehabilitationがオーストラリアで開催予定です。どちらも参加したいと思っています。今後、世界中でニューロリハ関連の学会が増えていくものと思われました。

(このブログを見て頂いていた某リハ雑誌の編集者から学会体験記の原稿依頼をもらいました。)

2010/12/12

Asian Congress of NeuroRehabilitaion 体験記2

2010ACNR初日、人が集まってきました。8割くらいはタイの方?みなさんラフな格好が多く、スーツを着ているのはチェアマンだけといったところでしょうか。

こちらは抄録集とプログラム、ネームホルダー。

記念にバッグとUSBメモリー(4GB)もらいました

オープニングセレモニー。学会ChairmanであるDr. Witsanu Kumthornthip、PresidentであるDr. Attarit Srinkapaibulaya、World Federation for NeuroRehabilitation (WFNR)のPresidentであるProf. Stephanie Clarke、Past PresidentであるProf. Mike Barnesによる開会の辞で幕をあけました。トランスレーショナルスタディーの大切さが非常に強調されていました。

産業ブースも人がいっぱい。

こちらはBi-Manu-trackですね。いくつかロボットリハの体験をしました。

日本ニューロリハ学会にも来て頂いていたフィリピンニューロリハ学会プレジデントDr. Guerreroによる講演。いつにもましてエキサイティングです。

ポスターはりました。右は私の。左は320-MDCTのですね。

ポスターツアーです。私のところにもきていただいたので簡単にプレゼンしました。貼りっぱなしの人もちらほら?

線維筋痛症のランチョンセミナーでのランチ、実にタイらしいですね。美味しかったです。

午後は才藤栄一先生の司会で脳卒中後認知症・嚥下障害に関するシンポジウムがありました。

一日目無事終了、ザインホテルの部屋にもどってしばし休憩、、、自分のプレゼンが済んでちょっとほっとしています。

2010/12/11

Asian Congress of NeuroRehabilitaion 体験記1

2010/12/5-8タイのパタヤで2010 Asian Congress of Neurorehabilitation (アジアニューロリハビリテーション学会)が開催されました。この学会はThai Society of NeuroRehabilitation (TSNR) と Royal College of Physiatrists of Thailand 共催による初めてのJoint Meeting です。

タイへは羽田から国際便がでており便利になりました。
タイに着いたらタイ伝統医学の総本山であるワットポーにより、学会旅行の無事を祈念しました。

初日の昼ごはんのカオソーイ、その辺の食堂に入って食べました。
それにしてもタイのもやしはなぜこんなにサクサク?


会場となるザインホテルはバンコク・スワンナプーム空港から車で90分ほどのパタヤにありました。

まさにリゾートホテルですね。ちなみに外の気温は30℃くらいです。

今回、プレコングレスセミナーには参加していないのですが、8つのワークショップが開催され、WS3では才藤栄一先生、青柳陽一郎先生、稲本陽子先生、柴田斉子先生らによりPROCESS MODELのお話があったようです。

磁気刺激を応援するクラウドファンディング「脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい」

磁気刺激療法を応援するクラウドファンディング「 脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい 」がREADYFORにて行われています。 https://readyfor.jp/projects/hosp_mie-rehabil 経頭蓋磁気刺激療法は脳卒中治療ガイドライ...