J Adv Nurs. 2007 Jan;57(2):181-91.Effects of a range-of-motion exercise programme.
寝たきり患者に対する関節可動域訓練(ROMex)、漫然と処方・実施されていること多く見かけますが臨床的にどれくらい意味があるのでしょうか。これは脳卒中後寝たきり患者に対するROM訓練の効果をRCTにて検証した報告です。
59人の高齢脳卒中後寝たきり患者を通常ケア群、IntⅠ群(中強度ROMex)、IntⅡ群(高強度ROMex)と3群にわけ1ヶ月後の変化をみています。ROMexは毎日2回・週6回、1回10-20分かけて肩・肘・手首・股・膝・足首に対し行われています。
患者さんの背景ですが、脳卒中発症から何年もたった人たちばかりで、筋緊張はやや高め、麻痺もやや重めの人が多く、FIMの平均は35くらいです。
結果ですが通常ケア群ではROM増悪傾向がみられますがROMex群では全ての関節においてROMの有意な改善がみられています。(ちゃんと測定者に対するblindもなされています。)
またROMex群は通常ケア群に比べ、うつ傾向、疼痛、FIMの点数に関しても有意な改善が得られたという結果です。
この程度のROMexでもROM改善効果がしっかりみられるという結果は、私の予想よりも良い結果でした。また確かにFIMも通常ケア群に比べ1,2点改善しています。着替えが楽になったりしてFIMがあがっているのかもしれません。しかし寝たきり患者に対するROMexは、ずっとやらなければ獲得したものを維持できないというmaintainability(維持可能性)に問題があり、どれだけ医療資源を投入すべきかについてはさらに検討が必要かもしれません。(在宅患者であればご家族にやっていただくということで良いのですが。)多変量解析によるROMex効果の予測や、長期経過での介護負担軽減効果などのデータもあるとさらに良いと思いました。
2012/01/30
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