Antioxidants prevent health-promoting effects of physical exercise in humans. Proc Natl Acad Sci 2009 26; 106:8665.
運動のアンチエイジング効果が抗酸化サプリによって打ち消けされることを明らかにした衝撃的な報告です。運動の耐糖能改善効果は広く知られた事実ですが、運動時にビタミンC・Eを内服することで、その効果が消失するというのです。
もともと運動習慣のない12人を非サプリ群とサプリ群(運動時にビタミンC:1000 mg、ビタミンE:400 IU内服)にわけ1ヶ月の有酸素運動前後での耐糖能を比較検討しています。
結果ですが、非サプリ群では耐糖能が有意に改善したのに対し、サプリ群では耐糖能に変化がみられませんでした。
そもそも運動の耐糖能改善効果は、運動の適度な酸化ストレス(ROS)によって引き起こされる(運動のホルミシス効果によりSODが誘導される)と考えられていますが、抗酸化サプリによってその適度な酸化ストレスが打ち消されるのではないかと推測されています。運動するときはサプリは飲まないほうが良いかもしれません。
2011/07/30
2011/07/25
結局、睡眠時間と死亡率の関係は?(メタアナリシス)
Sleep duration and mortality: a systematic review and meta-analysis.J Sleep Res. 2009 Jun;18(2):148-58.
結局、睡眠時間と死亡率との関係は?ということで睡眠と死亡率に関するメタアナリシスを読んでみました。pubmed等から1374の論文を引っ張り出してきて、その中から厳選された23の論文を組み入れて解析しています。
フォレストプロットです。睡眠時間が短い人達はそうでない人達に比べ総死亡率が1.1倍でした。
睡眠時間が長い人達はそうでない人達に比べ総死亡率が1.23倍、心臓関連死亡率が1.38倍、癌関連死亡率が1.21倍であったとの結論です。
睡眠時間だけの影響と考えることもできますが、もしかすると短睡な人達は自分の身を省みることもできないような多忙な人達だったかもしれませんし、長眠な人達は怠惰で私生活が乱れていたかもしれません。どちらも長生きはできませんね。それにしてもRRが小さいです。睡眠は量より質のほうが大事な気がします。
結局、睡眠時間と死亡率との関係は?ということで睡眠と死亡率に関するメタアナリシスを読んでみました。pubmed等から1374の論文を引っ張り出してきて、その中から厳選された23の論文を組み入れて解析しています。
フォレストプロットです。睡眠時間が短い人達はそうでない人達に比べ総死亡率が1.1倍でした。
睡眠時間が長い人達はそうでない人達に比べ総死亡率が1.23倍、心臓関連死亡率が1.38倍、癌関連死亡率が1.21倍であったとの結論です。
睡眠時間だけの影響と考えることもできますが、もしかすると短睡な人達は自分の身を省みることもできないような多忙な人達だったかもしれませんし、長眠な人達は怠惰で私生活が乱れていたかもしれません。どちらも長生きはできませんね。それにしてもRRが小さいです。睡眠は量より質のほうが大事な気がします。
2011/07/20
見た目の年齢は生命予後予測に使える
Perceived age as clinically useful biomarker of ageing: cohort study. BMJ. 2009
これは見た目の年齢と寿命との関連性を明らかにしたBMJの論文です。
1826人のデンマーク人の双子(70歳以上)に対し見た目の年齢を判定し、675人が亡くなるまでフォローアップしています。
結論ですが性別、実年齢で調整したとしても(その他身体機能、認知機能などを調整しても)見た目の年齢によって生命予後に有意差がみられたとの結果です。
見た目は生命予後予測に有用とのこと。見た目のアンチエイジングも意外と長生きに重要かもしれません。
これは見た目の年齢と寿命との関連性を明らかにしたBMJの論文です。
1826人のデンマーク人の双子(70歳以上)に対し見た目の年齢を判定し、675人が亡くなるまでフォローアップしています。
結論ですが性別、実年齢で調整したとしても(その他身体機能、認知機能などを調整しても)見た目の年齢によって生命予後に有意差がみられたとの結果です。
見た目は生命予後予測に有用とのこと。見た目のアンチエイジングも意外と長生きに重要かもしれません。
2011/07/16
野菜・果物ジュースには認知症予防効果がある
Fruit and Vegetable Juices and Alzheimer’s Disease: The Kame Project. Am J Med. 2006; 119: 751–759.
野菜ジュースって本当に体に良いのでしょうか?これは野菜・果物ジュースの摂取とアルツハイマー認知症の発生率を検討したKame Projectの報告です。65歳以上の高齢者1836人を8年ちかくフォローしています。
野菜ジュースって本当に体に良いのでしょうか?これは野菜・果物ジュースの摂取とアルツハイマー認知症の発生率を検討したKame Projectの報告です。65歳以上の高齢者1836人を8年ちかくフォローしています。
Cox比例ハザードモデルによる多変量解析の結果ですが、野菜・果物ジュースを週三回飲む人は、週一回飲まない人に比べアルツハイマー発症リスクが76%低かった(HR:0.24)との結論です。この効果はジュースに含まれる抗酸化物質によるものと考えられているようですね。野菜・果物ジュースには認知症予防効果がありそうです。
2011/07/15
マルチビタミンの美白効果
Effects of vitamin C vs. multivitamin on melanogenesis: comparative study in vitro and in vivo. International Journal of Dermatology 2010, 49, 218–22.
どんなビタミンに美白効果があるのか調べていて見つけた論文です。ビタミンCとマルチビタミン(vitamin A, D, E, B1, B2, B5, B6, C, nicotinamideを含む)でメラニン沈着に対する効果を比較しています。
結果ですが、ビタミンCだけよりマルチビタミンの方が抗メラニン効果ありとの結論でした。タチオンにも美白効果があるようなので併用してみると良いのかも?最近みためのアンチエイジングについても聞かれることが多くなってきており勉強中です(笑)
2011/07/14
身体機能は寿命に直接影響を与える(メタアナリシス)
Objectively measured physical capability levels and mortality: systematic review and meta-analysis. BMJ 2010
これまで身体機能と寿命との関連性に関するエビデンスは限られていました。これは身体機能が死亡率に直接影響を与えていることを明らかにしたBMJのメタアナリシスです。
physical capabilityとmortalityとを検討した論文: grip strength23つ, walking speed15つ, chair rising7つ, standing balance5つ を組み入れてメタ解析を行っています。
握力についてです。握力が高い方が有意に長生きしていました。
歩行速度についてです。歩行速度が早い方が有意に生命予後が良かったです。
起立能力についてです。起立速度が速いほうが有意に長生きしていました。
バランス能力についてです。これについては評価尺度がばらばらであったためメタ解析できなかったが、バランス低下と死亡率との関連性はありそうであった、とのことです。
まとめです。握力が低い群は高い群にくらべ死亡率が1.67倍、歩行速度が遅い群は速い群にくらべ死亡率が2.87倍、起立速度が遅い群は速い群にくらべ死亡率が1.96倍であったとの結論です。
(またfunnel plotsの結果、publication biasはなし。)
筋力、歩行能力、起立速度などは寿命を決定する独立因子であり、高齢者の生命予後予測に使える(useful tools for identifying older people at higher risk of death)と。また、これらの身体機能維持・向上を目的としたリハビリは寿命を延長させる魔法の弾丸になりえるかもとのことです。
これまで身体機能と寿命との関連性に関するエビデンスは限られていました。これは身体機能が死亡率に直接影響を与えていることを明らかにしたBMJのメタアナリシスです。
physical capabilityとmortalityとを検討した論文: grip strength23つ, walking speed15つ, chair rising7つ, standing balance5つ を組み入れてメタ解析を行っています。
握力についてです。握力が高い方が有意に長生きしていました。
歩行速度についてです。歩行速度が早い方が有意に生命予後が良かったです。
起立能力についてです。起立速度が速いほうが有意に長生きしていました。
バランス能力についてです。これについては評価尺度がばらばらであったためメタ解析できなかったが、バランス低下と死亡率との関連性はありそうであった、とのことです。
まとめです。握力が低い群は高い群にくらべ死亡率が1.67倍、歩行速度が遅い群は速い群にくらべ死亡率が2.87倍、起立速度が遅い群は速い群にくらべ死亡率が1.96倍であったとの結論です。
(またfunnel plotsの結果、publication biasはなし。)
筋力、歩行能力、起立速度などは寿命を決定する独立因子であり、高齢者の生命予後予測に使える(useful tools for identifying older people at higher risk of death)と。また、これらの身体機能維持・向上を目的としたリハビリは寿命を延長させる魔法の弾丸になりえるかもとのことです。
2011/07/12
サルコペニアの栄養マネジメント(Review)
Nutritional recommendations for the management of sarcopenia.J Am Med Dir Assoc. 2010 ;11:391-6.
サルコペニアの栄養マネジメントに関するReview見つけたので読んでみました。システマティックレビューの結果を推奨レベルA,B,Cにグレーディングし、ちょっとしたガイドラインのようになっています。
推奨レベルA,Bのまとめです。BCAA等のプロテイン、ビタミンD、有酸素運動・レジスタンストレーニングなどについての記載が多く見受けられます。また推奨摂取量や、訓練量などについても具体的な記載があります。
・総タンパク摂取量は1-1.5g/kg/dayが推奨される(B)
・ビタミンD摂取量は50,000IU/weekまでが安全(A)
・レジスタンストレーニングと有酸素運動は1回20-30分、週3回が推奨される(A)
日本人にそのまま適応できるかどうかはわかりませんが参考にはなるのではと思います。
サルコペニアの栄養マネジメントに関するReview見つけたので読んでみました。システマティックレビューの結果を推奨レベルA,B,Cにグレーディングし、ちょっとしたガイドラインのようになっています。
推奨レベルA,Bのまとめです。BCAA等のプロテイン、ビタミンD、有酸素運動・レジスタンストレーニングなどについての記載が多く見受けられます。また推奨摂取量や、訓練量などについても具体的な記載があります。
・総タンパク摂取量は1-1.5g/kg/dayが推奨される(B)
・ビタミンD摂取量は50,000IU/weekまでが安全(A)
・レジスタンストレーニングと有酸素運動は1回20-30分、週3回が推奨される(A)
日本人にそのまま適応できるかどうかはわかりませんが参考にはなるのではと思います。
2011/07/09
インパクトファクターランキング(Journal Cited Reports 2010参照)
欧文雑誌全体での最新版Impact Factorランキングも見てみました。(Journal Cited Reports 2010参照) NEJM 53. NATURE 36. LANCET 33. SCIENCE 31. JAMA30. こちらの順位もほぼ前年度と同じような感じですね。
ちなみにIFを調べるにはMedical Journal Impact FactorやJournal Impact Factorを調べると良いです。
ちなみにIFを調べるにはMedical Journal Impact FactorやJournal Impact Factorを調べると良いです。
2011/07/08
貯蔵鉄が多すぎると糖尿病を発症しやすい
貧血はパフォーマンス低下につながることもあり、症状があればもちろん是正を検討する必要があります。また過去には鉄が多すぎると癌になりやすいとの報告や、血清鉄が正常にも関わらず貯蔵鉄の補充が認知機能を向上させるなど鉄に関してはいろいろなメリット、デメリットの報告がなされています。今回の報告は貯蔵鉄量と糖尿病との関連性をあきらかにした論文です。34826人の女性における10年フォローアップの前向きcase-control studyで、貯蔵鉄の多い少ないによって糖尿病発症率に差があるかどうかを検討しています。
ロジスティック回帰分析の結果ですが、貯蔵鉄であるフェリチンが増加するにしたがって糖尿病発症のリスクがきれいに上昇するとの結論です。フェリチンの値は糖尿病の独立したリスクファクターだとのこと。鉄が多すぎると活性酸素が増加し体がさびてしまいますということだと思います。
2011/07/06
リハビリテーション雑誌のインパクトファクター(最新版)
今日大学でJournal Cited Reports の2010年版が新たに見れるようになっているのに気付いたので、Rehabilitation Journal のImpact Factor最新リストを見てみました。
順番は前年度とほぼ変わりないようですが、いくつか新たに上位に食い込んでいるもの(EUR J PHYS REHAB MEDとか)もあります。やはりニューロリハ系が高めなんでしょうか。Rehabilitation Journal全体的に上がってきている印象を持ちました。(ちなみにうちの大学の学位論文はインパクトファクター●点以上の英文が必要とされています。)
筋トレは動脈の柔軟性を低下させる?
Greater Age-Related Reductions in Central Arterial Compliance in Resistance-Trained Men.Hypertension. 2003;41:130.
有酸素運動には動脈硬化予防作用があるといわれていますが、筋トレは動脈にどんな影響を与えるのでしょうか。これは筋トレと動脈の硬さとの関連を検討した報告です。62人の被験者を若者群(20~30代)と中年群(40~50代)にわけたうえで、筋トレしてるかどうかで頚動脈のコンプライアンス(伸張性)を比較しています。
結論ですが、中年群では筋トレしている人の方が頚動脈の柔軟性が有意に低下(動脈スティフネスが増加)していたとの報告です。もちろん筋トレをしばらくやめることで元に戻るような一過性で可逆的な現象かとは思いますが、頚動脈の高度狭窄があるような症例では注意が必要かもしれません。
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