近年、ビタミンDが脳の可塑性を高めるとして注目されています。これは脳卒中の機能予後とビタミンDの血中濃度との関連性を検討した研究です。
脳卒中急性期入院患者326人中、68%はビタミンD欠乏と判定された。
退院時、Unfavorable outcome群(中等度以上の障害が残存)はfavorable outcome群に比べ有意にビタミンDの血中濃度が低かった。
多変量解析の結果、ビタミンDの血中濃度は退院時favorable outcomeに対する有意な予後因子(オッズ比:3.96)であった。
ビタミンDの血中濃度と脳卒中患者の機能予後には関連性がみられた。ビタミンDサプリメントの投与が脳卒中患者の機能予後を改善させるかどうかの前向き研究も至急必要であると結論づけられています。
過去にもいくつか同様の論文あり、最近、JSCVDにも同様の結果が報告されました。 Is 25(OH)D Associated with Cognitive Impairment and Functional Improvement in Stroke? A Retrospective Clinical Study. J Stroke Cerebrovasc Dis.
ビタミンDはニューロステロイドホルモンとも呼ばれているように、BBBを通過してBDNFなどといった脳の可塑性を高める物質の分泌を促すことが知られています。
もちろん、ビタミンD不足でない人に投与する必要はないと思いますが、脳卒中入院患者の多くにビタミンD不足がみられるとの報告もありますので、もしかしたら脳卒中リハ患者の機能改善補助薬として有力な候補ではないかと考えています。活性型ビタミンDでは高カルシウム血症も問題となりますが、サプリメントのビタミンDであればそれほど有害事象もありませんし、安価ですし、一日投与量もそれほど多くないので良いと思います。
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