2015/11/05

日本リハビリテーション栄養データベース

日本リハビリテーション栄養データベース(Japan Nutrition Rehabilitation Database)のデータ収集が開始になりました。現在、協力してくれる施設を募集中だそうです。脳卒中、大腿骨近位部骨折、肺炎のデータを集めるとのことです。
http://rehabnutrition.jimdo.com/

2015/08/30

大腿骨近位部骨折リハ患者に対するリハ科専門医の効果

Impact of board-certificated physiatrists on rehabilitation outcomes in elderly patients after hip fracture: An observational study using the Japan Rehabilitation Database. Geriatrics & Gerontology International. 26 AUG 2015.
リハ科専門医の関わりが大腿骨近位部骨折リハ患者の機能改善に寄与しているかどうかを検討した論文です。

日本リハデータベースより824人の大腿骨近位部骨折リハ患者(回復期)を抽出、主治医がリハ専門医を有しているかどうかでFIM effectiveness(ADLの改善度合い)を比較しています。
全体の46%の患者の主治医はリハ科専門医を有していた。(整形外科専門医とのダブルライセンスの人も多いと思われます。)

主治医がリハ科専門医であった患者はそうでなかった患者に比べFIM effectivenessが有意に大きく、在院日数も短かった。また、施設ごとのデータのクラスタリングを一般化推定方程式を用いて補正し、傾向スコアの逆数重み付けにてベースライン共変量を調整した結果も同様であった。

リハ科専門医を有する医師が大腿骨近位部骨折リハ患者の主治医として関わることが機能改善、早期退院に寄与していそうだ、とのことです。リハ科専門医はかなり不足しているのが現状、日本のリハ医療の質を向上させるためにも、今後より多くのリハ科専門医が必要ではないかとのことです。

2015/05/10

高齢誤嚥性肺炎患者の経口摂取予後因子

Predictive factors for oral intake after aspiration pneumonia in older adults. Geriatrics & Gerontology International. 2015
誤嚥性肺炎で入院された高齢者は、なかなか経口摂取が難しい場合も多いですが、経口摂取復帰困難者の特徴についてはよくわかっていませんでした。これは高齢誤嚥性肺炎患者における経口摂取予後因子について検討した探索的研究です。

DPCデータベースより入院後経口摂取困難となった6万人以上の患者データを抽出した。30日経口摂取自立率は全体で59%であり、30日非経口摂取自立者の在院日数は有意に長く、在宅復帰率は有意に低く、30日死亡率も有意に高かった。

コックス比例ハザードモデルを用いて早期経口摂取自立に関連する因子を検討したところ、
男性、低いADL、低体重、重症肺炎パラメーター(脱水、低酸素、意識障害、血圧低下)、いくつかの併存疾患(悪性腫瘍、敗血症、脳血管障害、口腔疾患、精神障害、神経疾患、慢性肺疾患、腎不全)・・・これらの因子を有している高齢誤嚥性肺炎患者は、なかなか経口摂取自立しないという結果であった。

ADLが低く、痩せていて、重傷肺炎にて呼吸状態や意識状態悪く、もともといろんな病気を持っている者はなかなか経口摂取自立しない、、、臨床的にも非常にリーズナブルな結果ではないかと思います。

2015/05/09

ビタミンDと脳卒中機能予後との関連性

Prognostic value of serum 25-hydroxyvitamin D in patients with stroke. Neurochem Res. 2014;39:1332-7.
近年、ビタミンDが脳の可塑性を高めるとして注目されています。これは脳卒中の機能予後とビタミンDの血中濃度との関連性を検討した研究です。

脳卒中急性期入院患者326人中、68%はビタミンD欠乏と判定された。

退院時、Unfavorable outcome群(中等度以上の障害が残存)はfavorable outcome群に比べ有意にビタミンDの血中濃度が低かった。

多変量解析の結果、ビタミンDの血中濃度は退院時favorable outcomeに対する有意な予後因子(オッズ比:3.96)であった。

ビタミンDの血中濃度と脳卒中患者の機能予後には関連性がみられた。ビタミンDサプリメントの投与が脳卒中患者の機能予後を改善させるかどうかの前向き研究も至急必要であると結論づけられています。

過去にもいくつか同様の論文あり、最近、JSCVDにも同様の結果が報告されました。 Is 25(OH)D Associated with Cognitive Impairment and Functional Improvement in Stroke? A Retrospective Clinical Study. J Stroke Cerebrovasc Dis.

ビタミンDはニューロステロイドホルモンとも呼ばれているように、BBBを通過してBDNFなどといった脳の可塑性を高める物質の分泌を促すことが知られています。

もちろん、ビタミンD不足でない人に投与する必要はないと思いますが、脳卒中入院患者の多くにビタミンD不足がみられるとの報告もありますので、もしかしたら脳卒中リハ患者の機能改善補助薬として有力な候補ではないかと考えています。活性型ビタミンDでは高カルシウム血症も問題となりますが、サプリメントのビタミンDであればそれほど有害事象もありませんし、安価ですし、一日投与量もそれほど多くないので良いと思います。

2015/05/07

脳卒中後嚥下障害に対する反復末梢磁気刺激+嚥下リハの併用療法

Repetitive Peripheral Magnetic Stimulation With Intensive Swallowing Rehabilitation for Poststroke Dysphagia: An Open-Label Case Series. Neuromodulation 2015
嚥下障害に対する反復末梢性磁気刺激(Repetitive peripheral magnetic stimulation: rPMS)と集中的嚥下リハの併用療法に関する報告です。

脳卒中後嚥下障害者(8人)に対し図のようなプログラム(一週間入院)でrPMSと嚥下リハを集中的に行った。

前後比較の結果、いくつかの嚥下機能評価項目(MASA、PAS、LEDT、SWAL-QOL)で有意な改善がみられたとのことです。

咽喉に対し直接磁気刺激をするやり方は、電気刺激よりも疼痛無く、深部組織を刺激することが可能であり効果的かも、とのことです。

2015/05/02

脳卒中急性期リハ患者に対するリハ科専門医の効果

Clinical Management Provided by Board-Certificated Physiatrists in Early Rehabilitation Is a Significant Determinant of Functional Improvement in Acute Stroke Patients: A Retrospective Analysis of Japan Rehabilitation Database. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2015 Mar 23
リハ科専門医の関わりが脳卒中急性期リハ患者の機能改善に寄与しているかどうかを検討した論文です。

日本リハデータベースより3838人の脳卒中急性期リハ患者を抽出、主治医がリハ専門医を有しているかどうかでFIM effectiveness(ADLの改善度合い)を比較しています。

全体の21%の患者の主治医はリハ科専門医を有していた。

施設ごとのデータのクラスタリングは一般化推定方程式を用いて補正、多変量解析の結果、主治医がリハ科専門医であった患者はそうでなかった患者に比べFIM effectivenessが有意に大きかった。

リハ科専門医を有する医師が脳卒中急性期リハ患者の主治医として関わることが機能改善に寄与していそうだ、とのことです。

リハ科専門医はかなり不足しているのが現状です。日本のリハ医療の質を向上させるためにも、今後より多くのリハ科専門医が必要と考えます。

2015/04/30

脳卒中リハ患者に対する下肢装具の機能改善効果

Effects of Ankle-Foot Orthoses on Functional Recovery after Stroke: A Propensity Score Analysis Based on Japan Rehabilitation Database. PLoS One. 2015;10:e0122688.
下肢装具は脳卒中リハ患者においてもよく使用されていますが、訓練の中で下肢装具を使用することによる機能改善効果については、実は明らかなエビデンスがありません。これは脳卒中リハ患者に対する下肢装具療法の機能改善効果を検討した研究です。

日本リハデータベースから下肢麻痺のある1862人のデータをもとに傾向スコア解析を行っています。年齢、性別、下肢麻痺の重症度、元々の障害の有無などなどの情報から装具が処方されるか否かの傾向スコアを推定、このスコアを用いたマッチングと逆数重み付けの手法にてバックグラウンドのバランスをとり、退院時FIMなどを比較しています。

傾向スコアマッチングにて、バックグラウンドのそろった比較可能な装具群と非装具群が作成されています。

マッチング後、退院時FIM、FIM利得、FIM効率は装具群の方が非装具群にくらべ大きかった。
これは逆数重み付けでも同様の結果であった。
下肢装具療法には脳卒中リハ患者の機能改善効果がありそうとのことです。

脳卒中下肢装具療法のようにすでに臨床現場で広く使用されているものに関しては、エビデンスがないからといって今さらRCTをやるには倫理的な問題が大きいです。
大規模データベースと統計学的因果推論の手法を用いれば、RCTの実施困難な問題も扱えるという良い例かと思います。

磁気刺激を応援するクラウドファンディング「脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい」

磁気刺激療法を応援するクラウドファンディング「 脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい 」がREADYFORにて行われています。 https://readyfor.jp/projects/hosp_mie-rehabil 経頭蓋磁気刺激療法は脳卒中治療ガイドライ...