2012/06/19

ループ型NGチューブが栄養補給効率を向上させる

Age Ageing. 2010:624-30. Does looped nasogastric tube feeding improve nutritional delivery for patients with dysphagia after acute stroke? A randomised controlled trial.
固定性の良いlooped nasogastric tube(looped NGT:ループ型NGチューブ)が脳卒中後嚥下障害患者の栄養補給効率を向上させるかどうか検討したRCTです。


104人の経管栄養患者をlooped NGT群と従来のNGT群にわけ、栄養補給がしっかりなされたかどうか比較しています。

結果です。looped NGTの方がややコストがかかり鼻に傷ができやすいということもあったが、栄養補給効率が17%くらい良かったし電解質異常も少なかった。(3ヵ月後の嚥下機能に関しては2群間で有意差なし。)looped NGTはズレにくく、その使用によりチューブ再挿入の頻度も軽減、栄養補給効率が改善されたとのことです。

looped NGTにはAMT Bridleのチューブを使用したとのこと、一度使ってみたいです。

バルーン訓練手法による経口摂取改善効果の違い

Dysphagia. 2012. The Effect of Different Catheter Balloon Dilatation Modes on Cricopharyngeal Dysfunction in Patients with Dysphagia.
輪状咽頭筋弛緩不全(CPD)患者に対するバルーン訓練効果を訓練手技の違いにより比較した報告です。

CPD患者21人にactive balloon dilatationを、17人にpassive balloon dilatationを毎日30分・週5日・4週間やってもらいその効果を比較しています。

両群ともにCPDの改善がみられたがactive balloon dilatationの方が機能的経口摂取スケール(FOIS)の改善が良かった(p=0.028)

passiveは単純に引き抜くやり方で、activeは努力嚥下とともに引き抜く手法であったと。バルーン訓練の際には努力嚥下を付加したほうがbetterみたいとのことです。

2012/06/15

Water Protocolの安全性、飲水量・QOL改善効果

Dysphagia. 2011 Sep 18. Outcomes of a Pilot Water Protocol Project in a Rehabilitation Setting.
口腔ケアが十分であれば食間の飲水にとろみ剤は不要とするウォータープロトコルの安全性や有用性ついて検討した論文です。
水分誤嚥にてとろみ剤を必要としている嚥下障害患者15人を対象にWater Protocol Algorithmを適応し食間の飲水に関してはトロミなしとしています。
全身状態がおちついていることや口腔汚染が無いことが前提とのこと。

注意事項として口腔ケアをしっかりすることや食事中や内服時の飲水にはトロミをつけることなどが書いてあります。

プロトコルを適応したところ飲水量が有意に増加、嚥下障害QOL尺度であるSWAL-QOLも有意に改善、肺炎などの有害事象は見られなかったとの報告です。ウォータープロトコルは安全に実施可能であり、脱水やQOLの改善に寄与しうるとのことです。

嚥下障害介入研究のアウトカムは肺炎や経口摂取、嚥下障害そのものとすることが多いですが、脱水やQOLをアウトカムとするのもいいですね。

2012/06/10

脳移行型ACE阻害薬の認知症予防効果

Arch Intern Med. 2009 Jul 13;169(13):1195-202.Angiotensin-converting enzyme inhibitors and cognitive decline in older adults with hypertension: results from the Cardiovascular Health Study.
脳移行型ACE阻害薬には、認知症予防効果がありそうとのお話です。
75歳くらいの1054人を約6年フォローしたところ158人が認知症を発症。

脳移行型ACE阻害薬使用者は他の高圧薬使用者に比べModified Mini-Mental State Examinationの悪化が有意に抑制されたとの結果です。

脳移行型にはcaptopril, fosinopril, lisinopril, perindopril, ramipril, trandolaprilなどが、非移行型にはbenazepril, enalapril, moexipril, quinaprilなどがあります。

脳移行型ACE阻害薬を使用しているかどうかによって高次脳機能障害やリハのアウトカム改善率に違いがあるかもしれません。

磁気刺激を応援するクラウドファンディング「脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい」

磁気刺激療法を応援するクラウドファンディング「 脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい 」がREADYFORにて行われています。 https://readyfor.jp/projects/hosp_mie-rehabil 経頭蓋磁気刺激療法は脳卒中治療ガイドライ...