2013/08/11

ビタミンDのパーキンソン病進行抑制効果(RCT)

Suzuki M, Yoshioka M, Hashimoto M, Murakami M, Noya M, Takahashi D, Urashima M. Randomized, double-blind, placebo-controlled trial of vitamin D supplementation in Parkinson disease. Am J Clin Nutr. 2013;97:1004-13.
ビタミンDにはパーキンソン病の進行を抑制する効果があるかも、ということでRCTで確認したとの報告です。114人のパーキンソン病患者を対象に56人にはビタミンD(1200IU/日)を、58人にはプラセボを内服してもらい、1年後までフォローしています。

結果、Hoehn & Yahr stageというパーキンソン病の重症度評価での悪化がビタミンD群で有意に少なかった、との結果です。(もともと25OHDの血中濃度は21-22±9くらいでビタミンDの血中濃度は低めの人が多かったみたいです。)ビタミンDはニューロステロイドとも言われており、様々な脳疾患に良い影響を与えるのではないかと期待されています。




2013/08/03

トクホコーラの原著論文を読んでみました


しばしば見かけるキ○ンメッツコーラ(キリンビバレッジ)です。食後の中性脂肪が気になる方の食生活の改善に役立つ」ということでトクホの認可を得ていますが、あまりに過大広告のようであり、有効性に関する評価の論文を探して読んでみました。


デザインは二重盲検によるクロスオーバー試験、対象は中性脂肪値がやや高めの成人男女90名。高脂肪食とともに試験飲料または対照飲料を摂取させ、摂取開始前、開始後経時的に採血を行い、血中の脂質関連指標を測定。(試験飲料は難消化性デキストリンを5 g配合)その結果、対照飲料と比較して試験飲料摂取後234時間後の血中中性脂肪値およびAUC値の抑制が認められたとしています。

しかし、よく読むといくつか問題点に気づきました。
①まず、脂質関連指標の経時的な変化量に関してはグラフが示され有意差があったとしているが、メインアウトカムである中性脂肪の数値が書かれていない!し、その他T-cholHDL-choLDL-choには有意差がない。
②中性脂肪値の血中濃度に関するAUCを比較し有意差ありとしているが、これもグラフのみで数値の記載がなく、グラフからも臨床的に意味のある差があったとは読み取れない。
③経時的な変化量を比較しているが統計解析に際して多重性が考慮されていない。
④もともと中性脂肪値が高めの者を対象としているため、一般化可能性については疑問を感じる。
⑤有害事象はなかったとしているが、なにをもって有害事象としているかが不明。
⑥統計解析をした人が、どのように情報からブラインドされていたかが不明。
⑦どのようにしてサンプルサイズを計算したのかが書かれていない。
⑧ダブルブラインドの介入研究にも関らず、臨床試験登録がなされていない。
⑨研究費の出所や利益相反に関する情報の記載がない。(著者の6人中、4人がキリンビバレッジ株式会社の社員である。)

これが中性脂肪値の血中濃度に関するAUCを比較したグラフですが、臨床的に意味のある差があったとは読み取れません。

情報をどこまで信用してよいかどうか、ますます情報リテラシーが必要な時代になってきています。

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