2010/05/30

上肢に対するロボットリハの効果 - Systematic Review

Effects of Robot-Assisted Therapy on Upper Limb Recovery After Stroke A Systematic Review
Neurorehabil Neural Repair 22(2); 2008 
上肢機能障害に対するロボットリハのmeta-analysisです。forest plotからはFMAに有意差ありとの結論ですね。
リハ学会のシンポジウムでも言われていたことですが、もっと安く簡便なロボットが開発されると良いですね。計測機器として使えば、フィードバック・リハ意欲の維持にも使えそうです。

DelisaとBraddom;Physical Medicine and Rehabilitation (PM&R)


英語のリハ医学の教科書といえば
Physical Medicine and Rehabilitationが有名です。2冊ありまして、右はDelisa、左はBraddomと呼ばれています。昔、Mayo Clinicのリハ科に学生実習に行ったことがあるのですが、向こうのレジデントは読みやすいから、とBraddomをお奨めしてくれました。確かにDelisaにくらべ図表が多いです。ちなみにアメリカではリハ医のことをphysiatristと呼びます。Delisaは今年改訂されるようですね

オーラルヘルスに関するsystematic review

Oral health of patients with intellectual disabilities: A systematic review. Spec Care Dentist 30(3):110-117,2010

口腔ケア介入後のアウトカム設定を検討中に見つけた論文で、知的障害者(ID)におけるオーラルヘルスのsystematic reviewです。

DMFT,Simplified oral hygiene index (SOHI), gingival index (GI)など医師としては聞きなれない口腔衛生尺度がいろいろ載っていました、がさきほど歯科の教科書を開いたところ当たり前の様に載っていました。日本では歯科の先生方が摂食嚥下診療に力を入れてらっしゃいますが、このあたりの咀嚼や口腔に関する知識は大きなアドバンテージなのではなかろうか、といつも感じています。 

2010/05/28

モチベーションとインセンティブ

最近MBAの本を読んでいるのですが、なんといってもヒューマンリソース(人的資源)の話が一番面白いです。なかでもモチベーションとインセンティブの話はリハの現場で明日からでも使えそうな内容ですのでご紹介します。

ポーター&ローラーの期待理論ではモチベーションは
モチベーション=期待(確実にできるか?)×誘意性(絶対にやりたいという欲求)
で表されるとしています。
つまり努力により報酬が得られるであろうという期待と、その得られるものに対する価値の大きさにより人は努力をするという考えです。

リハの現場ではしばしばゴール設定が必要ですが
リハによって達成可能なものの提示、
またそれはどれくらいの達成可能性を持つのか?
どれくらいのリハ・努力が必要か?といった
しっかりしたビジョンをうちだすことが本人のリハ意欲を引き出すのに重要となります。
そのためには的確な予後予測が必要であり、これこそリハ医ならでは仕事ではないでしょうか?

一方、インセンティブとは組織のもつ、個人に対する動機付けの機能のことで表彰、昇進、仕事に対する評価などがそれにあたります。コメディカルの世界ではインセンティブの導入がうまくいっていないことが多いような気がするのですがどうでしょう?もっとインセンティブを上手に活用できたらと思います。

2010/05/26

嚥下障害に発声訓練が有効

Lee Silverman Voice Treatment (LSVT)という発声訓練が嚥下障害に効くという論文。
嚥下障害のあるパーキンソン病の人に30日LSVTをやってもらったところ、VFで残留所見などに有意な改善がみられたとしています。
海外の公式HPで実際の訓練の様子が動画で見れます。日本でもワークショップなど行われているようですね、興味深いです。

2010/05/23

クエン酸ネブライザー併用VE?

リサーチクエスチョンです。VEは嚥下した瞬間の誤嚥を見逃すことがあります。そういった場合、咳払いで誤嚥物が観察されるか見る方法があります。しかし、嚥下障害者には従命が難しい場合が多いです。そこで、咳テストで使われるクエン酸ネブライザーを用いて強制的に咳を起こすことがVEの診断能の向上につながる可能性があるのではないかと思っているのですがいかがでしょうか。

絶食期間と嚥下機能の廃用?

リサーチクエスチョンです。よく、絶食期間が長くなると嚥下機能の廃用が起こるのではないかという話があります。しかし、私のこれまでのデータからは絶食期間がそれなりにあっても、それほど嚥下機能が落ちない人もたくさんいるようです。人間は一日600回くらいは唾液を嚥下しているということですし、それくらい嚥下運動があれば嚥下機能を維持することはできるのではないでしょうか。つまり、唾液を嚥下できるレベルの人であれば嚥下機能の廃用はあまり起こらないので、絶食をそれほど恐れる必要はないかと思っているのですがどうでしょうか。

リンゲルマン・ラタネの社会的怠慢理論

リハ学会での教育講演:リハビリテーション医療における安全対策と危機管理で「リンゲルマン・ラタネの社会的怠慢理論」が紹介されていました。

リンゲルマンの綱引き実験・ラタネの拍手実験:綱を引くときも拍手をするときも一人でやるときより複数人でやるときのほうが、みんな手抜きをする傾向があるというお話。先日、そのような事例でのインシデントを経験したばかりだったので、ハッとさせられました。チーム医療では組織が大きくなりすぎるとそのようなことも増えるかもしれませんね。

2010/05/22

第47回日本リハビリテーション医学会学術集会


第47回日本リハビリテーション医学会学術集会に参加してきました。
今回、ニューロリハ関連のプログラムも充実していました。
「シンポジウム 片麻痺上肢への革新的治療法 」ではCI療法、促通反復療法、ロボティックス治療 、FES、経頭蓋磁気刺激療法の比較などが話し合われました。
「シンポジウム 磁気刺激のリハビリテーションへの応用」では皮質内・半球間抑制・神経可塑性の話題が中心でした。
「教育講演 摂食・嚥下リハビリテーションupdate」では嚥下障害に対するボトックス療法や電気刺激療法などの紹介がありました。
48回は埼玉で、49回は福岡で、50回は東京であるようです。

2010/05/16

私がリハ医を選んだ理由


なかなか最初からリハ医を選ぶ人は少ないのですが、私は学生時代からほぼ迷うことなくリハ医を選びました。その理由としては、病気だけみてもつまらないな、というのが一番大きかったように思います。
「生き死にはものの常也、医道はよそにありと知るべし」という言葉もありますし、既存の医療や病院の枠にとらわれない家族や家屋や社会資源を包括した「トータルライフコーディネーター」のような仕事がいいなと思っていました。そしてリハ医が一番それに近いのかな、と。
リハ医療は患者さんのニーズから始まるもの、患者さんを大切にしている人であればやりがいにだけは困らないと思います。
また、いろんな疾患がみれ全身管理もでき、それでいてリハ医にしかないスペシャリティーがあることも大きかったです。
整形や神経内科の専門医をとってから、という人もいますが、複数の専門医を維持するのはお金も時間もかかりますし、リハ医としては専門医はリハだけで十分だと思います。また、うちの大学の人だけに限定していえば同じ大学内の医局移動は人間関係のことも考慮すると実はかなり厳しいので、最終的にリハをやりたいのであればはじめからリハ科に入るのが良いと思います。
今年は入局者が増えそうです。リハマインドを持つ仲間がもっと増えるといいなあと思っています。

2010/05/15

道は開ける 人を動かす


私はかなり本を読みます。(ちなみにパッシブな情報収集は好きでないため、家にはテレビがありません。)さっきAMAZONで過去の購入履歴をみたところ640冊近くになっていました。その中でもデールカーネギーのこの2冊は私の愛読書です。読みすぎてぼろぼろになったため新しく買いなおしたのですが、それでもぼろぼろになってしまっています。人生の困難にぶち当たったとき、何か大きな決断を迫られたときには開くようにしています。好きな箇所は「レモンをレモネードに変える」のところでしょうか。 最近はドラッガーの本を読んでいます、面白いです。

Tc-ECDはviabilityやmetabolic activityの評価に有効


Technetium-99m-ECD brain SPECT in misery perfusion.J Nucl Med.1997.
TcECD-SPECT画像は脳血流に加えて脳代謝に影響されるため、画像読影時には双方を考慮しなければならない、というお話。
Tc-ECDは脳血流低下がなくても、脳内エステラーゼ活性の低下により集積が低下することが知られています。つまりTc-ECDは脳のviabilityやmetabolic activityの評価、ひいてはdiaschisisの評価などにも有用である可能性があります。面白いですね。

ポータブル嚥下内視鏡

「訪問診療に有用なポータブル嚥下内視鏡.歯界展望.2009」に紹介されているポータブル嚥下内視鏡、私も使用しています。やや画質が荒いですが日常診療上は大きな問題ありませんし、機動力は抜群です。

ファイバーはペンタックスのFNL-10RBS、ビデオカメラはパナソニックのHDC-SD100、アダプターは永島医科器械の特注です。ビデオカメラを直接見るようにしてモニターは使用していません。録画録音できるのも良いところだと思います。VEは嚥下障害者さんのFood Fittingにかかせません。嚥下内視鏡の名目で診療報酬もとれるようになったため、今後流行りそうですね。

FileMaker


皆さんはデータベースソフトをお使いでしょうか?私は4年前よりFileMakerを使用しています。FITプログラム
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=5584
で使用されている様にサーバーをおき、各リハ部門、診療部門で入力をしてもらいます。入力しなければ日常診療が成り立たないくらいにシステム化すると欠損値が減ります。もちろんデータ入力が何かしらの労働力軽減につながるようでなければ各部門からの協力は得られませんし、入力しやすいデータベース作成に気を使う必要があります。また、時々データを出力し臨床のアウトカムを示してあげることが入力の継続につながります。私の研究スタイルは①リサーチクエスチョン・概念モデル作成 ②データベースに入力欄を作成 ③データがたまったらJMPへ といった「種をまいて収穫を待つ」パターンが多いです。チーム医療の体制があるところは是非導入検討をおすすします。

臨床研究デザイン塾


以前、i-Hopeの臨床研究デザイン塾に参加したのですが非常に良かったのでご紹介します。
http://www.i-hope.jp/
もともとリハ学会が後援していた時期もあり、その時に参加しました。リサーチクエスチョンの立て方から概念モデルの作成、統計ソフトの使いかたなど5日間の合宿でかなり楽しく学べました。
デザイン塾の講習内容は徐々にテキスト化され出版されています。
http://www.i-hope.jp/2007/09/rinsho_text.html
現在は腎臓・透析医のための臨床研究デザイン塾のみ開催されているようです。

SPSSとJMP


皆さんはどんな統計ソフトをお使いでしょうか?私はこれまでSPSS,JMPなど使ってきましたが、3年前その手軽さからJMPを衝動買いして以来のJMP使いです。(JMPは適切な統計手法を勝手に判断して結果を出してくれます。)とは言っても沢山のデータをいじるときにはSPSSが便利なときもありますし両方使っています。SPSSはちょっと高いですがセミナーに参加して使えるようになりました。ちなみにSPSS医療統計公式セミナーの講師・対馬栄輝先生はもともと理学療法士でありまして、リハ関連職種にはお奨めです。

また聖ルカの統計学ワークショップが良かったです。
JMPとSPSSから選べ、3日間の統計合宿ですがこの内容でこの値段は破格だと思います。

Hapi Drum


数年前、勢いでHapi Drumなるものを購入してしまいました。
http://www.youtube.com/watch?v=PW-GZ05htLE
当時6万くらいしたのですが 現在は楽天で4万以下で買えるようですね。 3歳の息子と公園で演奏したりしています。

2010/05/14

疼痛に対する反復経頭蓋磁気刺激療法の効果


rTMS for Suppressing Neuropathic Pain: A Meta-Analysis.The Journal of Pain.2009.
Painに対するrTMSのMeta-Analysisで、中枢性疼痛に対し10Hz以下のrTMSが良かったという結論です。 私も脳卒中後うつに対し10Hzくらいで試したことがあるのですが期待していたほどは効果がみられませんでした。(健側低頻度で効果がみられた症例もいましたが、なぜだが説明がつきません)もう少し何人か試してみたいと思います。

Nutritional Rehabilitation


Nutritional Rehabilitation.透析会誌2008.
「身体的リハと栄養障害の改善は,透析患者のリハの両輪である.」とのこと。まったくその通りだと思います。慢性消耗性疾患&廃用といったような人達にはリハも必要ですが、同時に栄養サポートをすることが魔法の弾丸になりえると感じています。栄養リハはこれからの新しい分野だと思いますので、NST活動を基盤にできるだけ開拓していけたらと思います。

カンペル平面は嚥下の分析に使える




Videofluoroscopic Kinesiologic Analysis of Swallowing: Defining a Standard Plane.J Med Dent Sci.2006.
VFの計測について歯科の先生から教えていただいたもので、カンペル平面が嚥下計測の基準線となるというもの。歯科の領域で使われる平面であるため、なかなか普通の医師には思いつかないと思いました。

2010/05/09

気分と血流に対するチキンスープの効果



Effect of Chicken Soup Intake on Mood States and Peripheral Blood Flow in Humans. J Health Sci 2009.
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007055934

チキンスープを飲むと心も体もあったまる事をdouble-blind, placebo-controlled crossover studyで証明した論文です。結論はいたってシンプルですが研究デザインがかなりしっかりしており、「まさかこれを言いたいがためにここまでやってしまうとは、、、」と研究者のチキンスープに対する熱い思いが伝わってきて、読みながらおもわずニコニコしてしまう、そんな論文です。こんな愛のある論文、私も書きたいです。

voxel-based methodの有効性



Analysis of clinical brain SPECT data based on anatomic standardization and reference to normal data : an ROC-based comparison of visual, semiquantitative, and voxel-based methods.THE JOURNAL OF NUCLEAR MEDICINE 2002

SPMを使ったvoxel-based methodが核医学専門医の診断より精度が高かったという論文です。
最近のニューロリハ分野におけるf-MRIやPETの研究でもSPMが多く使われているようですが、
診断のツールとしてはそれなりに信用して良いものだということだと思います。

学生実習




昨日、医学部の新一年生が病院見学実習に来ました。
嚥下内視鏡検査とNST・嚥下回診、退院前訪問指導に付き合ってもらったところ
リハビリのイメージがかなり変わったようでした。
リハ医学を志す医学生が増えることを願ってやみません。

2010/05/08

翻訳メモリ


再来週のリハ学会までに演題内容を英語論文にしようと
がんばっているのですが英語論文は初めてなものでなかなか進みません。

そこで科研費で翻訳メモリなるソフトを購入しました。
翻訳メモリとは原文と翻訳文を一対としてデータベース化し、翻訳を支援するソフトウェアです。
有名どころではTRADOS(トラドス)、OmegaT(オメガテ)、TraTool(トラツール)などがあります。
http://www.amelia.ne.jp/user/reading/edifice_top.jsp
翻訳ソフトでは文法がでたらめになってしまうのですが、翻訳メモリはプロの翻訳家も使っています。
私が購入したのはもう少し、マイナーなものですが、それなりに使えてます。

学会時にはその内容に対しては興味や知識がピークにあるので
発表までに論文書くのが一番パフォーマンスが良いですね。

もう一息、がんばります。

2010/05/07

国際ニューロリハビリテーション学会

今回は国際ニューロリハビリテーション学会
World Federation for NeuroRehabilitation (WFNR)のホームページを紹介します。
http://wfnr.co.uk/

次回の国際ニューロリハ学会は2012年の5月にメルボルンであるようです。
http://dcconferences.com.au/wcnr2012/
丁度2年後ですね。

Broad topics は以下の通りです。
Innovations in NeuroRehabilitation
Traumatic
Brain Injury
Paediatric NeuroRehabilitation
Spinal Cord Injury
Spasticity
Basic Sciences
Stroke
Neurodegeneration
Imaging
NeuroOncology
Gait Rehabilitation & Retraining
Multiple Sclerosis
Plasticity Robotics

ちなみにWFNRの学会誌は
Neurorehabilitation and Neural Repairといいます。
いつかこの雑誌にアクセプトされるような仕事がしたいものです。

2010/05/05

第1回日本ニューロリハビリテーション学会学術集会


今年、ついにWorld Federation for NeuroRehabilitation (WFNR) の national society
として日本ニューロリハビリテーション学会 (JSNRNR)が発足しました。
http://www.fujita-hu.ac.jp/~rehabmed/JSNRNR/

2010.1.30 名古屋で第1回日本ニューロリハビリテーション学会学術集会がありました。
参加者はリハ関係が半分、脳外科半分+その他基礎の人? といった印象でした。
発表のスライドは全て英語でした。
脳外の先生方の発表(脳内植込み電極など)がリハ医としては新鮮で面白かったです。
2回目は近藤和泉先生を大会長に
2011/2/12 名古屋国際会議場でやるとのことでした。
また入会費は年間5000円とのことでした。

まだまだ小さな学会ですがこれから大きくなりそうで楽しみです。

ブログ作成しました

このたびリハに関するブログを作成しました。
私は東京都狛江市にある総合病院のリハ医で、脳卒中患者を中心に外来・病棟業務、研究に従事しています。リハに携わる医師として、興味深い論文ネタや日々思うことなどを記憶が鮮明なうちに書きとめていきたいと思います。(診療上の相談には対応しかねます。)
プロフィール:熊本県芦北郡出身、6人兄弟の5番目です。東京世田谷区玉川に住んでます。大学から東京に出てきました。初期研修を終え、リハ科に入り、先日リハ専門医をとりました。

磁気刺激を応援するクラウドファンディング「脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい」

磁気刺激療法を応援するクラウドファンディング「 脳卒中の後遺症に悩まれている方々を磁気刺激療法で救いたい 」がREADYFORにて行われています。 https://readyfor.jp/projects/hosp_mie-rehabil 経頭蓋磁気刺激療法は脳卒中治療ガイドライ...